広告運用のPDCAはAIに任せる

　続いて、今回リリースされたUNIVERSE Adsが進化していく方向性や、マーケティングにもたらしていく価値についても尋ねた。渡辺氏は、「広告プラットフォーム運用におけるPDCAはAIに任せられるようにする」ことを想定している。

　プロモーションの目的は様々であるとはいえ、「広告プラットフォームを運用するのは売り上げを伸ばすため」という点は、どの広告主においても共通している。しかし、活用できるデータが爆発的に増加している昨今においては、その分析や活用を含め、人間が仮説検証を行い、運用すること自体が不可能になる。

　そうした想定が現実になったとき、広告運用、管理などの仕事はなくなってしまうのではないだろうか？　この疑問に対し渡辺氏は、「今存在している仕事はAIがやっていく。それなら人間はもう少し全体を見よう、というように、担う場所が変わっていくのが現実的な変化だと思います。たとえば、ダイレクト広告やブランディング広告において、計測可能なKPIを達成するプラットフォーム運用の部分をAIができるようになった時、人間は『見込み客を流入するには』といった、ファネルのより上の部分を見るようになるでしょう」と話した。

　また、AIと人間では得意とする領域も異なる。分析すべきデータが100％に近ければ近いほど、AIが得意とする仕事になり、欠けているところが多いと、人間の介入が必要になる。また、人間の不完全なものを補う作業にも、やはり人が手を入れることが必要だという。

AI×データ時代を生き抜くコツは？

　AIとデータによって、マーケティングに大きな変化がもたらされるだろう。最後に、UNIVERSE AdsをはじめとするこうしたAIテクノロジーを使いこなすコツについてうかがった。

　すると「変にAIを『使おう』と思わないこと」が大切だと渡辺氏。その理由を次のように続けた。「余計なことをするのがいちばんよくないような気がしています。全自動の食洗機に任せると不安だから、洗ってから入れる、というのは意味がないですよね」（渡辺氏）

　AIと競おうとすることはナンセンスだ。たとえばアルゴリズムに従うと、CTRが10倍まで伸びることもある。通常人間は、「なぜCTRが10倍になったのか」とその理由を必死に考える。しかし頑張って理由を見つけても、状況が変われば次もうまくいくとは限らない。

　さらに、「人間の脳とAIでは仕組みが違う」ということも押さえておく必要がある。

　「人間は結果が出ると、その理由を探りたくなりますし、過程がわかった方がすっきりする。しかし理由はわからないけれど結果が出るというAIにとっては、理由はそれほど大切ではないのかもしれません。UNIVERSE Adsの検証結果を見ていると、おもしろくてワクワクするし、SFのような世界だなと思いますね」（渡辺氏）

　UNIVERSE Adsのこれからに注目しながら、AI×データ時代に備えたい。