両アプリが急成長できた大きな要因とは?
サービスインと同時にアプリをスタートしたゼクシィ恋結びに続き、ゼクシィ縁結びは2018年4月にアプリをリリース。現在会員数は、2017年度比で280%増加しており、75万人を超える。
その会員数の増加を目的に行っているマーケティング施策の一つが、中国アドテク企業Mobvistaのモバイルプラットフォームの活用である。
2013年に創業し、中国広州に本社を置くMobvistaは、2018年12月に香港証券取引所に上場。現在世界12ヵ国でサービスを展開し、直在庫保有量、データ量、AI技術力の高さなどから中国を代表するアドテク企業と評される。日本法人は2017年9月に設立しており、現在すでに日本国内の300以上のキャンペーンで、同社のサービスが利用されている。
宍戸氏は、Mobvistaを採用した大きな理由として「AIによる広告配信最適化」を挙げた。
宍戸氏によると、たとえば年末年始に帰省した際やGWなどの大型連休に婚活市場が大きく動くという。しかし、どのようなきっかけで婚活をスタートするかは、人それぞれであり、新規会員の獲得には幅広く広告を配信し、成果の良い媒体・クリエイティブを見つけていく必要がある。
しかし、「配信面の細かな分析が人力でリソースがかかり過ぎていた」と宍戸氏。この課題に対するソリューションとして最適だったのがMobvistaだという。
「MobvistaのAI機能はとても優秀で、広告配信最適化を簡単に実現してくれます。無料新規会員の目標KPIに対し、満足の得られる成果が出ていますね。また、運用担当の方も、こちらからの細かな要望も高い感度で受けとめて運用に反映してくれます」(宍戸氏)
世界中で膨大なデータ量を保有するMobvista
AIによる広告配信最適化・分析精度の向上は、各社がしのぎを削る領域だ。Mobvistaはエンジニアが全社員の半数以上を占め、その中にはAI専門に開発を進める者も多いという。この体制で開発しているAIの優位性について、同社の井料氏は次のように語る。
「まず中国はアメリカと並ぶ勢いのAI大国でもあり、AI人材の確保にあたっては、比較的行いやすい環境にあります。またMobvistaは、AIにとって生命線とも言える学習を行うためのデータを、グローバル規模の量と質で保有しています。その上で、効果計測用のSDKから課金や継続起動率などのデータを個人情報には触れない形で取得し、AIを用いてユーザーの行動分析を行います。この分析結果をもとに、配信を自動で最適化します」(井料氏)
では、Mobvistaは具体的にどの程度のデータを保有しているのだろうか。井料氏によれば、世界で約3.3億人に配信できる直在庫を保有し、その分量のアプリデータをデイリーで把握しているという。あわせて、同社のグループ企業で無料のゲームアプリ分析ツール「GameAnalytics(ゲームアナリティクス、本社デンマーク)」は世界で16,000社・6万タイトルが利用し、デイリーで9,000万人分のデータを収集している。
MobvistaのAIは、この膨大なビッグデータを用いて学習し、広告主からのオーダーに合わせた広告配信最適化を行うのだ。