ゴールは「うんちくを語れる状態」
MZ:先述のような施策を行った結果、実際に得られた成果はありますか。
今西:たとえば、テレビCMを見た人がゲームをダウンロードしたとします。その後にTwitterでテレビCMの裏側となるスピンオフ動画を流し、それにも接触してTwitterもフォローしてくれたとします。ここまでくると、ゲーム内の起動回数やプレイ時間などのアクティビティが著しく向上します。

このように、ゲームの裏側や世界観を知っているか知らないかでお客様のアクティビティは変化します。ですので、私はお客様にゲームのことをより深く知ってもらって「うんちくを語れる状態」にすることを目指しています。そこまでのファンになっていただくと、アプリも継続していただける可能性も上がっていきますので。
MZ:「うんちくを語れる状態」のファンを増やすには、どういったことが必要なのでしょうか。
今西:まずは、ダウンロードして頂いたお客様への自己紹介ですね。我々はこういうアプリで、ダウンロードするとこういった体験ができます、ということを丁寧にお伝えします。その上で、ゲームの世界観や裏側などのネタを少しずつお客様に届くように配信していくことが求められます。
そして、特に日本だとゲームに関するコミュニティは、実名よりも匿名の方が広がりやすいので、Twitterなどの匿名性のコミュニティを形成し、会話をしてもらいやすい空気作り必要だと考えています。
テレビCMでもPDCAを回せるように
MZ:最後に、今後のテレビCMの活用、統合マーケティングについて考えていることを教えてください。
今西:テレビCMの活用については2点あります。1点目は効果測定についてです。現在のテレビCMとデジタル広告における一番の差分は効果測定のしやすさにあります。それがあったからこそ、デジタル広告は伸びてきたと考えています。
そのため、テレビCMも効果測定に関わる仕組みをアップデートして、効果や価格も含めて改良していけると、テレビCMにも改めて注目が集まると思います。我々も最適な効果測定の仕組みを見出したいですね。
2点目は視聴態度についてです。現在テレビを「ながら視聴」するケースが確実に増えているので、「視聴率」という指標ではなく、よく言われてるワードかもしれませんが「視聴質」が今後ますます重要になってきます。
私自身も、夜にまとめて10時間分の録画を見ていたりするため、実はほとんどのCMをスキップしてしまいます。私のようなスキップをする人でも、目にとめてしまうクオリティのクリエイティブを作り出す必要性があると考えています。
そして、統合型マーケティングに関してですが、その実現には以下3つの能力が必須になってくると思っています。
1.理解力=お客様のニーズを理解する力
2.想像(創造)力=自分の考えた施策で、お客様がどのように動いてくれるか想像する力
3,推進力=戦略を語るだけではなく、実行に向けて推進する力。
これらを踏まえて、統合マーケティングを行っていくと、成功する可能性も高まるはずです。
そして、今後統合マーケティングに対するノウハウがあるかないかで、その企業のマーケティングにおける競争力は大きく変わります。私含め、弊社の宣伝部全体で統合マーケティングに対するスキルや知見を深め、他の追随を許さない組織となっていきたいと思います。
