Webの父、ティム・バーナーズ=リーが鳴らす警鐘
「GDPRは、GoogleをDisruptee(破壊される側)にする。彼らからデータ主権を取り戻し、そのビジネスモデルをDisrupt(破壊)するのが目的だ」
2018年5月末から6月初めにかけて、テルアビブのIT企業のイベントに招待された私は、イスラエルに出張した。そして、たまたまそこで知り合ったイギリス人とイスラエル人の3人で夕食をともにした。夕食のテーブルでは、施行直後のGDPRの話題およびIoT広告市場の話題になり、イギリス人が熱く語った。
「GAFAはすべて米国企業、その一角にEU企業が1社も入っていない。このままでは、EU経済が破綻する。経済の悪化によって、Brexit(英国のEU離脱)のような保護主義が台頭し、それがさらに健全な経済成長の足枷になる。だからデータ主権を取り戻し、Googleのビジネスモデルに風穴をあけ、新しいデータ経済のモデルを作るのだ」
私なりに訳すと、こんな感じだ。
「新しいデータ経済のモデルでは、既存のネット広告は通用しなくなる」と同席したイスラエル人が主張した。彼は「IoT EVOLUTION EXPO」 などで議論されている課題などについて説明してくれた。正直、私は技術者ではないので、技術的で専門的な彼の話を完全に理解できない。ただ、www(World Wide Web)を考案したティム・バーナーズ=リーの懸念に、IoT広告では対応していく(らしい)ことだけはわかった。
『Webの父、ティム・バーナーズ=リーがインターネットの未来に警鐘を鳴らす』(GIZMODE)の記事によれば、バーナーズ=リーは、「個人情報を管理しきれていない」ことや「誤った情報が簡単に広まってしまう」ことなど、現在のインターネットの憂慮すべき欠点に言及しつつ、GoogleやFacebookなどに対して批判的な発言をしている。
同席したイスラエル人は続けた。「だからブロックチェーン技術を使って個人データを守る会社、あるいはデータを管理する権限を個人に与えることが大事になった。IoT広告では、今のネット広告技術は使えない」と。
私の定義では、ネット広告は既存のパソコンとスマホに表示される広告だ。一方IoT広告とは、パソコンとスマホ以外のIoT機器を通して提供される広告。スマート家電(スマートスピーカーやコネクテッドTVも含む)、スマートカー(コネクテッド・カー、自動運転車)、ウェアラブル機器、スマートハウス/スマートホーム、スマートシティ(コネクテッドOOHも含む)などが主戦場になると見込んでいる。
IoT広告については、IAB(Interactive Advertising Bureau)デジタルビデオ委員会の共同会長だったマイケル・ゴーフロンの記事(マイナビニュース)や、IoT広告に関する動画、日本政府のSociety5.0動画などでイメージをつかんで欲しい。