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第106号(2024年10月号)
特集「令和時代のシニアマーケティング」

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スポーツ×デジタルマーケティングの現在位置を探る

多くの新規サッカーファンの取り込みに成功 Jリーグ×ドコモによるデジタルマーケティングの全貌

 スポーツチームの支援に力を入れているプラスクラスの平地大樹氏とともに、同業界のマーケティングの現状と課題、今後について探る本連載。今回は、2017年にサッカー産業の発展と地域コミュニティの活性化をデジタルで推進する「トップパートナー契約」を結んだ、Jリーグとドコモのキーマン2人に登場頂いた。スポーツ文化を育むJリーグの百年構想は、デジタルで新たなステージに立っている。

2016年に本格化したJリーグのデジタル活用

今回の登場人物

画像左:株式会社プラスクラス 代表取締役 平地大樹氏

 Webコンサルティング会社プラスクラス代表。プロバスケ選手引退後、人材業界を経験し、Web業界へ。営業活動一切ナシのWebコンサル事業をプラスクラスとして収益化し、現在はプラスクラス・スポーツ・インキュベーション代表として、スポーツ界にWeb/ITを取り入れることを推進している。

画像中央:株式会社Jリーグデジタル プラットフォーム戦略部 部長
笹田 賢吾氏

 18年間勤務したニフティから、2015年4月に公益社団法人日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)へ転職。Jリーグのグループ再編により、2017年4月から株式会社Jリーグデジタル プラットフォーム戦略部部長に。Jリーグのデジタルマーケティング戦略を担当するほか、Jリーグの事業・マーケティング本部のto C企画戦略事務局を兼務。

画像右:株式会社NTTドコモ スマートライフ推進部 スポーツ&ライブビジネス推進室
パートナー協創担当部長 石村 彰啓氏

 Jリーグとドコモの「トップパートナー契約」、そしてNTTグループによる「オフィシャルテクノロジーパートナー契約」のもと、Jリーグのデジタルトランスフォーメーションを支援するキーマンとして関わる。

平地:Jリーグとドコモは、2017年に「トップパートナー契約」を結ばれ、両社でデジタル戦略を推進しています。本日は、これまでの取り組みを振り返っていただくとともに、今後の展開をお伺いします。まずは笹田さんから、Jリーグの現状を教えていただけますか。

笹田:現在、公益社団法人日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)は、Jリーグホールディングス直下4つの事業会社、そしてJ1からJ3までの39都道府県・55クラブより成り立っています。Jリーグは、2015年から4年連続で入場者数1,000万人を突破し、17年度の事業規模は1,000億を超えました。すべてのクラブで3期連続赤字、債務超過がゼロと、世界的に見ても財務状況の良いプロスポーツリーグであることが特長です。

平地:すばらしい運営状況だと思います。最近では日本代表の活躍や、海外のビッグプレーヤーの移籍など、嬉しい話題も続いていますし、リーグ全体で好調と言えそうですね。

笹田:日本には、まだまだスポーツ産業の成長する余地があり、東京五輪を機に活性化が期待されています。そのカギとなるのが、デジタルだと私たちは考えています。そのため、組織の重点戦略として、2016年からデジタル活用をスタートしています。

コアファンの育成が課題に

平地:プロジェクトは、4年目に入られているんですね。これまで、どのような施策を進められてきたのですか。

笹田:まず2015年に、Jリーグ公式サイト「J.LEAGUE.jp」のスマートフォン対応、SEOやオウンドメディア、SNSの強化を行いました。本格的なデジタル活用に着手した2016年は、CRMの領域に注力しました。2017年には、チケット購入・EC・スタジアムWi-Fiなどのサービスが利用できる、CRMを基盤としたJリーグIDをスタート。そのタイミングで公式のチケットサイトとECサイトのリニューアル、公式アプリ「Club J.LEAGUE」のリリースを行いました。

平地:クラブごとのIDではなく、Jリーグ共通のIDを発行することで、様々なサービスを1つのIDで利用することができ、ファンにとっての利便性も高まりますね。また、チケット販売はぴあ、ECは楽天と、サービスごとに企業とパートナーシップを結んでいることが特徴的だと思います。2017年からは、DAZN(ダゾーン)にてOTT(Over The Top)配信もスタートされました。

笹田:Jリーグはプラットフォームとしてデータを持ち、各サービスはその分野で強みを持つパートナー様と協業しています。そして、データとサービスのハブとなるのがJリーグIDです。現在ID数は、106万ID(2018年末現在)と伸長しています。2018年以降は、このIDから得られるデータをもとに、ファンをF0からF5の6層に分け、各層に最適なアプローチを進めています。

 直近1年以内の来場回数と、過去の観戦経験の有無という2軸で見ると、実はJリーグIDの8割は直近の来場回数1、2回という潜在ファン層F0から、ライトファン層F2までの方なんです。

 我々としては、今後その8割の方が年3回以上来場するF3層になっていただけるようなサービスを提供していきたいと考えています。これらのデータは、ユーザー許諾を得ていますので、各クラブで活用いただくことも可能です。

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この記事の著者

マチコマキ(マチコマキ)

広告営業&WEBディレクター出身のビジネスライター。専門は、BtoBプロダクトの導入事例や、広告、デジタルマーケティング。オウンドメディア編集長業務、コンテンツマーケティング支援やUXライティングなど、文章にまつわる仕事に幅広く関わる。ポートフォリオはこちらをご参考ください。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2019/03/20 07:00 https://markezine.jp/article/detail/30524

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