見たいデータを“翻訳”した形で見られるから、すぐに施策が打てる
――UNiCASEさんの実店舗でのデータポータル活用について、プロジェクトはどのように進んだのでしょうか。
辻本(GMO-PG) 当初は、ECサイトを分析するうえで要点をおさえたダッシュボードをデータポータルで構築するという提案をしました。するとUNiCASE様から、「データポータルを実店舗のデータ解析に使えないか」と要望いただいたんです。実店舗のデータ解析においては、他の有料ツールも検討しつつ、調査を重ねた結果、データポータルでも実現可能であると判断し、プロジェクトがスタートしました。
Google Analytics(以下、GA)の数値をデータポータルにつないでいる事業者様はめずらしくありませんが、実店舗のデータをデータポータルに活用している事例はそう多くないと思います。今回の取り組みを経験することで、今後、多くの事業者様のオムニチャネル化のサポートにもつながると考えました。
上田(UNiCASE) 当社の場合、ECサイト、POSも含めシステムをグループ会社のCCCフロンティアラボですべてフルスクラッチで開発しています。オムニチャネルのシステム構築は数年前に完了しており、オフラインとオンラインのデータは統合できています。
店舗スタッフから、店舗やECの売上情報から販売分析を行いたいと要望があったのですが、解決策がなくラボに相談していました。CCCフロンティアラボが、なるべくコストを掛けずに実現できるBigQuery+データポータルで分析する方法を検討していたところに、GMO-PGさんからデータポータルの設定を行うサービスのご提案があり、このプロジェクトがスタートしました。
辻本(GMO-PG) 調査の段階では、データポータルに限定せず、さまざまなBI(Business Intelligence)を検討しました。また、基幹システムにあるPOSデータのクラウドへの上げかたや、データビジュアライズに必要なデータ処理などの課題を、CCCフロンティアラボ様の技術力も頼りにさせていただきながら、1つひとつクリアしていきました。基盤が整ったところで、もっとも重要な課題であるダッシュボードのアウトプットについて考えることになりました。
UNiCASE様、CCCフロンティアラボ様のご協力で、実店舗で販売を担当するスタッフの方々をアサインいただき、日々お使いのExcelファイルを複数拝見しました。そして、本当は見たいと思っているのに見られないデータやExcelを使用しながら感じている課題などについて、長い時間を割いていただいてヒアリングしました。それをもとに、設計図に落とし込んだのが第二段階です。
設計図を実装する際には、少し作ってはエラーが起きてやり直すというやりとりを、CCCフロンティアラボ様のエンジニアの方々と頻繁に行いました。プロジェクト自体、それほど長い時間はかからなかったのですが、やりとりの回数は非常に多かったと思います。
岡部(UNiCASE) 多くの小売店舗では、すでに混雑する時間帯や顧客データ等の分析はされていると思います。しかし、今回のデータポータルを活用する取り組みでは、分析したデータを各店舗のスタッフが見たい形に“翻訳”して見られるようにしたかったんです。会計データだけでも月に数十万件貯まっていく、いわゆるビッグデータを分析し、システムに詳しくない、実店舗のいちスタッフでも簡単に使えるということが絶対条件でした。
辻本(GMO-PG) 有料のBIであればもっと簡単に実現できたのでしょうが、無料のデータポータルで実現できたことは大きいと思います。
――11月にリリースされ、取材時点で4ヵ月ほど経過しました。何か成果につながっていますか?
上田(UNiCASE) 店舗にはExcelが使えないスタッフもいます。複雑になるほど、ダッシュボードを作ることが目的になり、次のアクションにつながっていかないと思います。しかし、データポータルを見ればすでにダッシュボードは組み上がっています。それをもとに商品のゾーニングを考えるなど、次の売上につながる施策を考えるところからスタートできるのが、非常にありがたいです。
岡部(UNiCASE) リリースから1ヵ月後の12月に、データポータルのダッシュボードを見て、全店舗のゾーニングを変更しました。増やしたカテゴリの商品が売れ、売上増につながっています。いろいろと細かく要望を出させていただいたので、GMO-PGさんはしんどかったと思いますが、よくやってくださいました。