拡大する女性市場、複雑化するインサイトをどう把握するか
共同印刷は、1897年創業の総合印刷会社。2017年に120周年を迎えたのを機に、新しいコーポレートブランド「TOMOWEL」を導入し、これまで培ってきた総合力を武器に、事業領域のさらなる拡大と企業活性化を推進している。
そうしたなかで、次世代の消費者市場を切り開く活動の一環として吉丸滋美氏が進めているのが、「WIC(ウーマンズ・インサイト・コミュニケーション)プロジェクト」だ。女性インサイトに関わる研究・開発プロジェクトとして立ち上げ、拡大する女性市場を捉えるための取り組みを行っている。
吉丸氏は、いま女性市場が注目されている背景には、「多くの商品・サービスに対して購買決定権を持つ」「ライフステージが変わっても消費モチベーションを維持している」「働き方改革関連法の施行(2019年4月)」といった、現代の女性を取り巻く状況があると説く。
「女性が様々な形で社会に貢献している実態があります。法案によって、さらに働き方や価値観が多様化していくでしょう。これによって女性のマーケットが拡大していくと考えられます」
Hanako世代、F1層、ミレニアル世代といった、これまでよく用いられてきたセグメントでは女性消費者の顧客像を捉えきれなくなってきている。リアルな女性のペルソナを浮き彫りにするために、WICプロジェクトと慶応義塾大学名誉教授の熊坂賢次氏と共同研究で生み出されたのが「ペルソナ4×4(フォーバイフォー)」ロジックだ。
「ペルソナ4×4」ロジックとは?
「ペルソナ4×4」ロジックは、縦横4つの軸で女性を分類するものだ。横の軸が「家族観」で、縦の軸が「自分にとっての女性らしさ」となっている。このロジックの基となったのは20~60代女性の2,577サンプルのアンケート調査データで、50の設問から“女性たちのホンネ”に迫る調査票で構成されている。
【縦軸:家族観】
・真面目家族:マイホームが家族の夢であり、日本の産業化を支えてきた核家族のような形態。母親が家を守って父親が働きに出るという昔ながらの典型的な家族観。
・楽しい家族:マイカーを持って土日は生活を楽しむ。車の中に家族があるという考え方。
・協働家族:夫婦共働きで、生活を支えていく。ビジネスバッグの中に家族があるという考え方。
・スマホ家族:家での団らんにはこだわりを持たず、スマホを使ったコミュニケーションで家族がつながっていればよいという考え方。
【横軸:自分にとっての女性らしさ】
・弱さへの寛容:弱いものに対して包み込むような優しさを持つ。
・幸福する快楽:男性の目から見たかわいらしさ・美しさをめざす。
・強さへの自信:仕事も男性に負けたくない、自立できていて強くある。
・越境する効率:男性・女性と性にとらわれない、柔軟な価値観を持っている。
共同印刷では、この「ペルソナ4×4」ロジックを採用したペルソナプラットフォームを開発。簡単な操作で女性のインサイトを読み解くことができる。システム画面では、真ん中に「ペルソナ4×4」が配置され、左右にアンケートで尋ねた内容がインジケーター表示される。