令和フックのPRを紐解く
こんにちは。スパイスボックス事業統括責任者の森竹アルです。その時々の時流に合わせ、各コンテンツがシェアされる理由を分析してきた本連載。過去の記事では、企業プロモーション事例の他、映画や音楽、政治など幅広い分野のコンテンツがソーシャルメディア上でいかにシェア拡散され、生活者からどのような反応があったかを解説してきました(前回記事はこちら)。
そして、今回取り上げるのは4月1日に発表、5月1日に施行された新元号「令和」についてです。日本中の誰もが注目するトピックだったこともあり、令和はSNSを中心に非常に大きな話題を生みました。
考えてみれば、SNSが普及してから新元号が発表されるのは初めてで、これまで見たこともない現象が起きるのは当然のこと。今回は、その爆発的なエンゲージメントを紐解き、企業コミュニケーションに活用できるヒントについて考察していきます。
恒例の「エイプリルフール」、軒並み話題量減
ネット上では毎年4月1日になると企業のプロモーションも入り乱れてエイプリルフールネタで盛り上がるのが恒例化しています。2018年の企業プロモーション事例でもauの「意識高すぎ!高杉くん」が大きな話題となり、年間通じてNo.1のエンゲージメント数(※)を稼ぎました(詳細はこちら)。
ただし、2019年はエイプリルフール関連の話題量は大きく下回り、エンゲージメント数で前年比73%までダウンしています。
※エンゲージメント数:「いいね!」やシェア、コメント、リツイートなどFacebookとTwitterでの総アクション数に加え、対象コンテンツについて取り上げた記事に対するSNS上における口コミなどの総数。数が多いほど、“話題になっている”と言える。
エイプリルフールネタ自体が下火になってきている可能性もあるかもしれませんが、同時期に発表された新元号「令和」による影響が大きいのではないか、と私は考えています。事実、「令和」は「エイプリルフール」のエンゲージメント総数を軽く凌駕しており、その差は約3倍です。
たった、3日間で3,200万を超えるエンゲージメント総数を記録するという異例の事態となった新元号「令和」。早速、エンゲージメントの中身を紐解いてみましょう。
コラボ、商品化、発見、新元号をあらゆる角度で活用
2019年4月1日から4月3日の3日間(と言っても実際には、ほとんどが4月1日)に発信されたツイートにおけるエンゲージメント数をランキングにしてみると、新元号は多種多様なイジられ方をしていることがわかります。
イジると言っても決して悪い意味ではなく、新元号を主役としたポジティブな発想でアーティストやクリエイター、著名人、企業、一般の方々など、様々な立場の人々があらゆる角度から、SNSを使って新元号の誕生を祝福しているような状態でした。
最もエンゲージメント数が高かったのは、首相官邸のアカウントが投稿した正式発表のツイートです。8位には安倍首相によるツイートが入っていますが、その他は、本当に多種多様なアカウントから発信されたものがランクインしました。大きく3つに分類してご紹介します。