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MarkeZine Day 2025 Autumn

SNS起点で生まれるマーケティングトレンド

SNS時代の新元号「令和」が教えてくれた、次世代PRのヒントとは

令和が作った二次創作カルチャーとは?

 1つ目は、ランキング内でも最も多かったアーティストやクリエイターが「令和」を用いて二次創作を行った事例です。二次創作とは、原作者とは別の第三者が、原作をもとに作成した創作物のことを指します。「令和」の2文字をアイシングクッキーにしたり、針金アートにしたり、平成と令和の逆さ文字にしたりと、それぞれが非常に高いクオリティかつスピーディーにSNS上でエンゲージメントされたコンテンツでした。

@asami_kamiokaさんのツイートより
https://twitter.com/asami_kamioka/status/1112867059916890112

 「令和」の2文字をテーマにしたアウトプットが多い一方、「元号を発表する人」をテーマにアウトプットしたのがフリー素材を提供する「いらすとや」です。

 「元号を発表する人」は、「平成」が発表された時の光景含め、これまでも何度もメディア露出しており、皆が脳裏に焼き付いている象徴的なカットです。これを共通認識フォーマットとして捉え、二次創作したことでエンゲージメントされていました。

@irasutoyaのツイートより
https://twitter.com/irasutoya/status/1112551644942733313

 このケースのポイントとしては、題材となる「令和」が漢字2文字だけというシンプルなテーマだったこと、また「元号を発表する人」という共通認識されているフォーマットが存在していること、ではないでしょうか。題材がシンプルであればあるほど、二次創作の幅、可能性が広がると言えるでしょう。

エンゲージメント文脈には「即」乗るしかない

 2つ目は、企業などが商品化に乗り出す事例です。綾鷹の「元号ボトルプレゼント」やゴールデンボンバーの「新元号ソング発表」、上記のランキングには入っていませんでしたが、タカラトミーの「人生ゲーム+(プラス)令和版」などは信じられないほどのスピードでリリースされました。

 特にゴールデンボンバーは、新元号が発表された1時間後にはPVをリリースしたということから、決まった元号を当てはめれば完成というレベルまで徹底的に事前準備をしていたことがわかります。そのため、新元号発表直後の話題の波に見事に乗ることができました。

@KinbakuTwのツイートより
https://twitter.com/KinbakuTw/status/1112575607966040065

 このケースのポイントとしては、いますぐ話題の波に乗るスピード感、そしてそれを実現する徹底的な事前準備と言えます。あらかじめどのような話題の波ができるかを予測しておくことも重要です。

 今回、新元号が発表されることは誰でもわかっていたことですが、このような機会以外にも、世の中が注目するエンゲージメント事象がいつどのようなテーマで発生するかを予測できる状態にしておくことで、「今しかない」というリアルタイムのチャンスを活かせる機会が増やせるでしょう。

「新たな文脈」を生み出してくれる投稿も

 3つ目は、「新たな文脈」をユーザーが見つけ出して、次々と新しい話題が起きていく現象です。発信した側があらかじめどこまで意図していたかはわかりませんが、たとえば「レイワ」という発音はチベット語では「希望」という意味があり、非常に良い言葉ということで話題になりました。それがきっかけとなりTwitterで「チベットの方々にも希望が溢れますように」といったツイートが上がりました。

@Lhabudobuさんのツイート
https://twitter.com/Lhabudobu/status/1112550608395882496

 ランキングには入っていませんでしたが、日本だけでなく世界のメディアも「令和」を取り上げており、英BBCの英訳がカッコいいと話題になったり、和暦から西暦変換が覚えやすいという発見が話題になったりしていました。

@tokyo_ayanoさんのツイートより
https://twitter.com/tokyo_ayano/status/1112625439099379713

 このケースのポイントとしては、こういった「新たな文脈」を見つけ出してくれる“リサーチャー”がどれだけいるかです。新元号はすべての日本人に関係する共通テーマなので、関心の強い人々=“リサーチャー”が最も多いと言っても過言ではありません。

 こういった関心の強い人々に多数囲まれている状態にあると、味方として発信する情報を波及してくれるだけでなく、隠し要素やストーリーに気づいて、次々と「新たな文脈」を生み出してくれる可能性があります。

次のページ
文脈に合わせた発信に必要なこととは?

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この記事の著者

森竹 アル(モリタケ アル)

 スパイスボックス 取締役副社長 事業統括責任者。2006年にスパイスボックス入社。プロデューサーとして大手自動車メーカー、食品メーカー、ゲーム会社等のデジタルマーケティングを支援。2013年、プロデュース局局長就任。すべてのクライアントワークを統括。2016年以降は、ソーシャルメディアを中心に「共感」と「話題」を...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2019/05/07 08:00 https://markezine.jp/article/detail/30784

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