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イトーヨーカ堂富永氏&日清シスコ松長氏が語る、リブランディングの本質

“変えないもの”の正義

山口:ブランドの軸を定めるということでしょうか。

松長:その通りです。たとえば、ココナッツサブレは3年をかけてリブランディングを行いましたが、味自体は変えていません。議論を経て「味は変えない」と決めた上で、じゃあどこを変えるかを詰めていく。変えないものの正義、みたいなことが大事だと思っています。

富永:同感です。今や同業だけでなく、まったく関係ない業種が競合になる時代です。すると、その戦いにおいてどんなイメージが自社ブランドの邪魔になるか、あるいはどんなイメージをトーンアップすべきかを把握し、それに合わせて変化することが必要です。

 大きくリブランディングをするとき、変えてはいけないことが2つあると思っています。ひとつは、ブランドのパーソナリティ。ユーモラスだったのが突然シリアスになったら、受け手は戸惑いますよね。もうひとつは、ポジショニングのありようです。市場における立ち位置は、パーソナリティと並んで、ブランドを認識するときのコアな要素なので、変えてはいけない。この2つを変えなければ、あとは変えていいと思いますね。

山口:なるほど。では、一貫性を保ちながらリブランディングを推進する上で、社内的に留意する点はありますか?

松長:ひとつは、ある程度の強引さは必要だと思います。やはり現役のプレーヤーとして、クリエイティブを含めてやりたいことをすべて経営層に理解してもらうのは無理だと感じますね。だから、そこを通すには対極となる論理をしっかり磨き、味方を見つけることが重要です。反対意見は必ず出てきますが、味方になってくれた人たちがそのときに助けてくれます。

肌感に合わないことを疑え

富永:松長さんがおっしゃった経営層の説得については、なんとかしないといけないですよね。私はよく、行動経済学における「現状維持バイアス」の話をします。人間は誰しも現状維持が好きで、それを手放すのは怖いんです。でも、ビジネスの現実をシビアに見ると、現状維持の先にあるのはもう“死”ですよね。そんな議論ができるかどうかで、未来が少し違ってくると思います。

 そうは言っても、「うまくいかなければどうするのか」と言われたときには、屋台骨を揺るがす事件があってもブランドはそう簡単には崩れない。それを多くの企業の事例とともに説明するとわかってもらえます。

山口:では、現場の方に同じ方向を向いてもらうにはどうすればいいのでしょうか?

富永:やはり、腹落ちしてもらうことが必要ですよね。スターバックスの友人に聞いたんですが、新人さんには店頭で1週間研修してから初めてレジ接客をさせるそうなんです。さらに1週間して慣れてきたころ、店長が「そろそろ好きなフレーバーが出てきたと思うから、お勧めしてみたら?」と促す。それでやってみたら、お客さんに買ってもらえたり喜ばれたりして、接客業の本質的な喜びを感じられるわけです。こうしたループがとても大事だなと思いますね。

山口:なるほど、いかに自走する状態にもっていけるか、ということですね。最後に一言ずつ、リブランディングに課題を抱える方々にメッセージをいただけますか?

松長:日清グループの基本姿勢の中で、私が好きなのは「迷ったら行け、間違ったら戻れ」というものです。何もしていない時点でもう危機だと思うので、模索しながら進んでいけばいいのではないかと思います。

富永:自分で考えて、肌感に合わないことを疑う、ということでしょうか。様々なフレームワークが出ていますが、それを絶対善とせず、自分の言葉で埋めていくことが大事だと思います。

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この記事の著者

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2019/04/23 09:00 https://markezine.jp/article/detail/30792

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