※本記事は、2019年4月25日刊行の定期誌『MarkeZine』40号に掲載したものです。
バイブルは『バキ』 わがままを押し通す強み
(写真左)株式会社人間 ボケるプロデューサー 花岡氏
1981年、大阪市天王寺区鶴橋生まれ。代表取締役、プロデューサー、カレンダー。社内で唯一のお金好き。社内で誰も仕事を進めようとしないので、「剥き出しのエンジン」となり、プロジェクトを進めている。スタートレックのスポックのような髪型で、無類の刃牙好きで発想が少年漫画。三度の飯よりおっぱいが好きで、カメラを向けるとボケようとするが、意外と繊細な心を持つ。末っ子なのに洋一。(写真右)株式会社人間 アイデアマン 山根 シボル氏
1981年、大阪市西成区玉出生まれ。代表取締役、アイデアマン、デザイナー、トイレットペーパーを交換する係。日々、奇想天外な企画をなんとかシボリだし、人間の「人間っぽさ」を担っている。人の目を見て話せない性格のせいで、人の顔を覚えられないという弱点がある。アート好き、ゲーム好き、そして大のラジオ好きのサブカルオタクであり、広告業界のハガキ職人という気分で世の中を大喜利的に見ている。
――御社では「おもしろくて変なことを考えている」をモットーにしているとのことですが、それをどのように考え、コンテンツに反映しているのでしょうか。
山根:依頼を頂く際、大抵クライアントからお題がもらえると思いますが、それどおりに考えないようにしています。たとえば、商業施設と行った女性限定の謎解きゲーム「トキメキ迷宮からの招待状〜運命の占い師と禁断のチョコレート〜」では、最初「謎解きゲームを考えてほしい」と依頼を受けたのですが、ただ一般的な謎解きゲームを考えるのは気乗りがしませんでした……。
では僕たちのやりたい形で、効果を出すためにはと考えたときに「おもしろくしたい」「イケメンだらけにしよう!」と発想が出てきます。クライアントのお題を全部無視することはありませんが、それを良いものに変えたり、こちらなりのおもしろい表現に切り替えたりするというこだわりが強いんです。
花岡:仕事を受けるとき、まず本質は何かを考えることが重要だと思うんです。と言うのも、そもそもクライアントの出すお題が間違っているケースが結構多い。たとえば、集客目的で謎解きゲームを行うことが正解ではありません。そこに様々な要素を加え、まったく見たことない表現にすることで、お客さんに「おもしろいことする企業」と思わせないと意味がありません。
クライアントが絶対正解のお題が出せるわけないからこそ、本質は何かをまずは探り、そこに僕らがやりたいことを乗っけていきます。
――依頼されている側がやりたいことを乗っけるというのはなかなか難しいと思うのですが、クライアントにはどのように説明するのでしょうか。
山根:相手が何を達成したいのかを聞いた上で企画を立てているので、我々の考えた企画であればその目的が達成できることを論理的に説明します。
花岡:人間では「自分たちがやりたいことで相手の目的も達成できる」企画を常に考えています。僕らがバイブルとしている漫画『バキ』10巻の中で、烈海王というキャラクターは「強さとは何か」という問いかけに対し、「自己(おのれ)の意を貫き通す力、我儘(わがまま)を押し通す力」と語っています、この我儘を押し通す力というのが、弊社の企画力や企画の説得力に通じると思っていて、この言葉を胸に刻んでいます。