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「人」「モノ」「メディア」の3つの視点から捉える生活者のリアル

動画広告はどんな風に見られている?生活者視点で支持される動画広告のあり方を考察

動画の再生完了率だけでは見えない落とし穴

 動画広告は、よく「短いほうがよい」と言われる。それは、たとえばYouTubeのTrueViewインストリーム広告のように最初の5秒以外はスキップできる仕様のフォーマットがあったり、長くなるほど再生完了率が低くなるという広告視聴ログの傾向を踏まえて定説化したのであろう。では、生活者側から見るとどうだろうか。

図表3

 図表3は、20代女性における「普段の動画広告視聴態度」を広告の秒数別に分けて聞いた結果だ。スキップするか・しないかの2択で見ると、広告が5~6秒であればスキップしない派が6割以上いるが、30秒以上になると20pt近く減り、46%と過半数を割りこむ。このデータからも、やはり動画広告が「短いほうがよい」ということが明らかになっている。ここまでは配信レポート上の行動ログからも十分推察可能だ。では、スキップしない派をもう少し細かくみていこう。

図表4

 図表4で着目すべきポイントは、「赤色のブロック=生活者の視線がきちんと広告に向いている派」と、「青色のブロック=視線が別のところに行ってしまい、広告に向いていない派」の動きだ。広告の秒数が長くなるにつれ赤の広告に視線が向いている派は数を減らし、青の向いていない派が数を増やしている。つまり、動画広告をスキップしないが視線が向いていない人たちの割合が高まっているのである。

 広告の秒数が長くなるとスキップされる可能性が高くなるのであれば、長尺の動画広告を制作する際はスキップできない最初の5秒など、冒頭で生活者の興味をひきつける工夫をすればよいのかもしれない。だが、多くの動画広告は、その動画の総秒数が最初から生活者にわかる形で表示されている。

 このデータは、広告の秒数が長いとわかった瞬間から、どんな広告であろうと、「広告を見る」という行為そのものを放棄している人が一定数存在するということを示している。ストーリー性を持たせるには動画が長尺になるのは必然の成り行きではあるが、再生完了率だけをみていると思わぬ落とし穴が潜んでいるかもしれないのだ。

20代女性に受け入れられやすい広告フォーマットは?

 YouTubeのインストリーム広告(コンテンツが始まる前に流れる広告)をはじめ、動画広告には様々なフォーマットがある。主要な動画広告フォーマット(インバナー/インリード/SNSインフィード/プレロール/ミッドロール/全画面 )について、20代女性における「普段広告を目にする中で抱いているイメージ」を調べ、イメージスコアをランキング化したのが図表5だ。

図表5

 その結果、「自然に見られる」「流れても気にならない」「(商品・サービスへ)興味を持つきっかけになる」といったポジティブなイメージにおいてトップ3のフォーマットがすべて同じという結果になった。いずれも1位に輝いたのは「SNSインフィード広告」で、20代女性とSNSの相性の良さが改めて見せ付けられた形だ。

 そして特徴的なのは、2位に「インバナー広告」が入っているという点。インバナー広告は、自然に見られやすい一方で、表示面積が少なめになることも多く、他フォーマットに比べ印象に残りづらい側面があると考えられがちだ。しかし、興味喚起にも効果的なフォーマットであるというのは意外な結果と思う方も多いのではないだろうか。

 また、「(商品・サービスの)認知きっかけになる」ではフォーマットごとの差が見られなかったというのも意外な結果と言えよう。スマホの全画面もしくは大部分で広告が表示されることにより、インパクトのある広告が打てるということをウリとしたものも多いが、この結果を見ると、生活者視点ではフォーマットの違いよりも広告の「中身」、つまりクリエイティブが大事だということを暗に示していると言えるだろう。

 このデータはあくまで普段の各フォーマットの印象を聞いたものではあるが、業界一般的に言われるようなフォーマット特性は必ずしも生活者から見たものとは一致しないことを認識しておこう。

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50~60代女性と相性がいい広告フォーマットは?

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この記事の著者

花木 綾(ハナキ リン)

株式会社ビデオリサーチ
ソリューション事業局 デジタルソリューション部 アナリティクスデザイン担当

株式会社ビデオリサーチへ入社後、リサーチ事業を経て顧客課題解決のソリューション企画・推進部署であるデジタルソリューション部に配属。同社保有のメディアデータ・ひとデータと顧客保有のデータを連携するソリューション「V...

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田中 雄志(タナカ ユウジ)

ビデオリサーチ メディアコミュニケーション事業局 ACR/ex事業推進部 特別分析管理担当
2005年、ビデオリサーチ入社。現在は定量調査部で習得した調査スキルとローカル放送局担当営業で培った課題解決およびデータ価値化の知見を活かし、メディア・生活時間研究やシニアレポート向けの分析など『ACR/ex』を用いた幅広いアウトプッ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2019/05/24 08:00 https://markezine.jp/article/detail/31031

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