ミレニアル世代の中所得層が最多に インド消費者市場の構造変化
インドの消費者市場が中国以上に期待を持たれる理由は人口構成にあると言える。
中国は少子高齢化が進んでおり、この先消費者市場は縮小することが見込まれている。一方、インドは若年層が多くミレニアル世代人口が世界最多。この世代の所得水準の高まりにともない消費者市場が急拡大することが見込まれている。
2019年1月の世界経済フォーラムでは、コンサルティング会社ベイン・アンド・カンパニーが「急拡大する消費者市場インド−未来の消費」と題したレポートを公表し、2030年のインド消費者市場を見通している。
特筆すべきは家計所得構造の大きな変化だ。2005年、インドの家計所得構造は、低所得層が1億5,100万世帯、低中所得層が5,100万世帯、中高所得層が1,600万世帯、高所得層が100万世帯とピラミッド型であった。
この構造が2030年には、まったく異なった形になると予想されている。2030年の家計所得構造は、低所得層が5,700万世帯、低中所得層が1億3,200万世帯、中高所得層が1億6,800万世帯、高所得層が2,900万世帯になる見込みだ。消費の要となる高所得層と中所得層が合わせて85%を占めることになる。
この中高所得層のほとんどがミレニアル世代だ。インドの2018年の年齢中央値は28歳、2030年でも31歳にとどまる。インド全人口におけるミレニアル世代の割合は2018年に37%、2030年も同じ水準を維持すると予想されている。ここにZ世代が加わり、全人口のうち77%がミレニアル・Z世代で占められるという。一方、同年中国のミレニアル世代の割合は33%、年齢中央値は42歳になっている見込みだ。
国連の人口予測では、2030年にインドの人口は15億2,700万人に達し、中国の予想人口14億4,000万人を超える見込みだ。さらにインドの人口は2050年に16億5,000万人に増加、一方中国では13億6,000万人と減少に転じると予想されている。
