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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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MarkeZine Day 2025 Retail

データで再構築するテレビマーケティング

2019年は「Advanced TV元年」になるか 地上波テレビに押し寄せるデータドリブンの波

「Data-driven Linear」がCMの価値を高める

 詳細を説明していきましょう。Data-driven Linearの一番の価値は、従来の性別や年齢に関するデータのみならず、消費者行動や購買行動など多様なデータと組み合わせて、ターゲット像を明確にしていくことで、より細かく、精緻なターゲットに対してCMを届けることができるようになる点にあります。

 たとえば、これまでは「20代男性」の含有率が高いCM枠といった粒度でしか含有率を見ることができませんでしたが、様々なデータと組み合わせることによって、ある自動車メーカーに対して「そのメーカーの製品を2年以内に購入した人の注視含有率が高いCM枠」を提案することができます。

 このようなCM枠は、一部の広告主にとって、極めて広告価値の高い枠だと言えます。別の業種の広告主から見れば、その枠の付加価値はそれほど大きくないかも知れませんが、競合の自動車メーカーにとっては、割高価格でも購入したい枠になる可能性が非常に高くなります。

 広告主にとっては、ターゲットに伝わる精度が高くなり、テレビ局にとってはCM枠の価値を高くすることができる、両者に大きなメリットをもたらす最適解と言えるのではないでしょうか。そしてまさにこの考え方は、データによってCM枠や番組の価値を最大化したいという当社の理念とも合致しています。

 デジタルの世界ではこうした細かいターゲティングはこれまでも活発に行われてきました。Facebookでは、性別や年齢のみならず、居住地や支持政党、思想、役職など詳細なデータを取得して広告取引に活用しています。たとえば、「オハイオ在住で共和党支持者、銃所持に賛成しているトラクター運転手」という、まさにどこの誰か特定できてしまうレベルでのセグメントも可能です。このようなことを、テレビの世界でも始めようということがData-driven Linearなのです。

 米国では各広告主や放送局との間で積極的にトライアルが行われ、少しずつ事例も蓄積されてきています。さらに汎用的な事例が登場すれば、広告業界で長年の悲願とされてきたアトリビューションモデルの進化につながるのではないかと期待も寄せられています。そうなれば、デジタルシフトを進めてきた広告主がテレビの価値を再確認するようになり、テレビに積極的に出稿するようになるかも知れません。

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テレビのデータドリブンの進化の道はこれから

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この記事の著者

郡谷 康士(グンヤ ヤスシ)

TVISION INSIGHTS株式会社 共同創業者/代表取締役社長
東京大学法学部卒。マッキンゼー・アンド・カンパニーにて、事業戦略・マーケティング戦略案件を数多く担当。リクルート中国の戦略担当を経て、上海にてデジタル広告代理店游仁堂(Yoren)創業。2015年よりTVISION INSIGHTSを創業し、代表取締役社長...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2019/05/28 08:00 https://markezine.jp/article/detail/31107

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