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CVRが平均の274%に!画像検索機能popIn Actionを活用したELLE SHOPの最新事例

 現在、800以上のメディアにネイティブアドネットワーク「popIn Discovery」を展開しているpopIn(ポップイン)が、このほど初めてECサイト向けのソリューション「popIn Action」をリリースした。「popIn Action」は、画像認識のAI技術を使って、ユーザーに精度の高いレコメンドを提示する。本ソリューションをいち早く導入したECサイト「ELLE SHOP」の事例を中心に、同サイトのプロモ―ション担当者とpopInに取材した。

類似商品を精度高くレコメンドする「popIn Action」

ハースト・デジタル・ジャパン CRM事業部 プロモーション担当 渡邊真帆氏(中央)
popIn株式会社 ディスカバリー事業部 マネージャー 吉岡真宏氏(左)、同部 彭(ペン)義芬氏(右)

――まずはハースト・デジタル・ジャパンの渡邊さんから、「ELLE SHOP(エル・ショップ)」の特徴と位置づけをうかがえますか?

渡邊 ELLE SHOPは、“雑誌『ELLE』のエディターがプロデュースするオンライン・セレクトショップ”として2009年にオープンし、今年で10周年を迎えるファッションECサイトです。レディース商品がメインですがメンズやキッズも扱っており、ファッションがお好きな30-50代女性のお客様を中心にご利用いただいています。

――今回、popInのECサイト向けレコメンドソリューション「popIn Action」をトライアル導入し、目覚ましい効果を上げられているそうですね。popInの吉岡さん、このソリューションについて簡単に教えていただけますか?

吉岡 画像認識のAI技術を用いた「popIn Action」は、ユーザーが閲覧する商品に対して類似商品をレコメンドする機能と、ユーザーが撮影・アップロードした画像と類似の商品を提案する画像検索、という主にふたつの機能があります。既存のレコメンドサービスと併用が可能で、この機能を通してユーザーが商品をカートに入れた時点(以下、カートイン)で課金する従量課金モデルなので、導入のハードルが低いことが特徴です。

「popIn Action」のスマートフォン上の実装画面。商品画像横の△アイコンをタップすると類似商品が並ぶ(上)。
検索窓に表示されるカメラアイコンをタップすると、画像や撮影画像をアップして類似商品を探すことができる (下)。

――導入前の課題や、導入のきっかけは?

渡邊 課題として、「お客様が本当に欲しい商品と出合える機会をいかに作るか」は追求し続けています。これまでpopInさんとはお取引がありませんでしたが、「popIn Discovery」は存じ上げていたので、あのpopInさんが開発したECサイト向けのサービス、という点で興味を持ちました。実際にお話をうかがい、「popIn Action」のデモをお見せいただいた時に、まずはその画像認識の精度の高さに心をつかまれました。

画像検索を利用したユーザーはCVRが平均の274%に

――“心をつかまれた”とは、熱いコメントですね! どのような点が?

渡邊 具体的にいくつか理由がありまして、ひとつ目は今お話しした画像認識の精度です。完全に画像のみで判別しているそうですが、デニムやニットなどの素材も見分けることには驚きました。前述した“お客様のニーズと商品のマッチング”面で、いいソリューションになると思いました。

ふたつ目は、カートインの従量課金制なのでリスクが少ないこと。3つ目は、既存のレコメンドウィジェットやサイトのデザインに干渉せず、お客様の任意でご利用いただける仕様だったことです。それから、導入時も基本的にはタグ挿入とデータフィードの提供だけで、もちろんその後の調整は慎重に行いましたが、とてもスムーズでした。……褒めすぎかもしれませんが、本当です(笑)。

――なるほど(笑)。これを受けて、吉岡さんはどうですか?

吉岡 とてもありがたいです! 当社としては、このソリューションはメディア向けのネイティブアドネットワーク「popIn Discovery」と相性がいいと考えていて、メディアもECサイトもお持ちの企業なら双方向で送客が実現できると想定しています。サービスインが具体的になり、ハーストさんに1社目のトライアルを打診したのは、そうした相乗効果もご提供できるのではと考えてのことでした。

――早速、実際にどのような効果が上がっているかうかがえますか?

渡邊 商品詳細ページに到達した全ユーザーの平均値と比較すると、「popIn Action」を利用したお客様はCVRが274%高い結果となりました。

滞在時間、平均購入単価も向上

――それは手ごたえのある数字ですね!

渡邊 はい、初速から目に見える効果が出て驚きました。商品に出会う機会が増えただけではなく、ニーズとのマッチング精度も高いということですよね。回遊率も高く、滞在時間は平均の3倍ほどあったので、よりショッピングをお楽しみいただけているのだと思います。さらに、平均購入単価も142%でした。これはとても意外な結果でしたね。

――意外、とは?

渡邊 画像から精度の高いレコメンドがなされると、当然ですが、今見ている商品よりも手ごろな類似商品も表示されます。その場合、安価なほうが選ばれるのではないか、という懸念がありました。でもそうではなく、お客様は単に最安値を知りたいのではなく「自分のイメージにより合致するものがほしい」と考えていて、そこにご満足いただける提案ができたのだと捉えています。

吉岡 当社も単価が低下する可能性は想定していたのですが、よかったです。比較検討しやすい状況をつくることが大事なのだと実感しました。

――そうなんですね。画像認識の精度の高さには、どういう秘訣があるのでしょうか?

吉岡 当社は2008年に東大発のベンチャーとして設立し、2015年に中国百度グループにジョインしましたが、画像認識には百度の世界トップクラスのディープラーニング技術を活用しています。20種類ほどのロジックの中から、「popIn Action」ではファッションに転用しやすいものを選び、色味や形、素材などを的確に検出できるようにブラッシュアップしたものです。

言語や国を問わないサービスの可能性

――中国では、画像認識技術がかなり進んでいるそうですね。

吉岡 はい。百度では今、自動車の自動運転に多くの投資をしていますが、そこにもこの技術を活用しています。周囲の景色を検出して、自動運転に活かしているんです。

――そうなんですね! 具体的に「popIn Action」の開発や調整も、中国の拠点で進行しているのですか?

吉岡 そうですね。popIn自体もグローバルで展開していて、韓国や台湾の拠点に加えて、百度の技術チームと連携したり、豊富なネットワークも使ってアジア全体でビジネスをしています。「popIn Action」は中国の深セン技術チームと日々やり取りしていますね。彭(ペン)のような、中国語に長けたスタッフを介してやりとりしています。

 私は以前も日中のグローバルコミュニケーションをサポートする仕事をしていて、popInには昨年入社しましたが、popInは各拠点とのコミュニケーションをできるだけ速く、スムーズにできるように注力していると思いますね。特に「popIn Action」は画像のみを軸とするレコメンドで、画像とデータフィードさえあれば言語も国も問わないので、これから大きな可能性があると感じています。ファッションだけでなく、ビジュアルが大事な自動車や家具などの領域にも展開できると思います。

ユーザーの期待に応えるよう改修重ねる

――通常、レコメンド事業者に合わせたデータフィードを作成することが求められると思いますが、そうしたわずらわしさはないのですね。精度を上げるために、popIn側で調整をしているのですか?

吉岡 そうですね、かなり細かく対応しています。例えば画像検索の精度がもともと高いだけに、商品点数の多くないキッズやメンズだとレコメンドの点数が限られたりもするので、レディースとは異なる制御にしたり、などですね。

渡邊 驚いたのは、ELLE SHOPでは雑誌『エル・ジャポン』も扱っているのですが、本誌内のコーディネートを撮影し検索した時に、雑誌自体がレコメンドされたことです。 検索動機と異なるので改修いただきましたが、これも精度の高さゆえでしたね!

吉岡 その点は、カテゴリを切り分けることで改修しました……(笑)。

――精度が高いゆえですね! 渡邊さんからは、使いながらいろいろと要望を出されているんですか?

渡邊 そうですね。いちばん大事にしているのは「お客様が何を期待してこの機能を使っているのか?」ということなので、その軸をぶらさずに、気づいた点はすぐにお伝えしています。迅速に対応いただいているので、助かっています。

吉岡 目的と、フィードの中のこのカラムをこう制御したらできるのでは、といった提案までしてもらえるので、深セン技術チームとのコミュニケーションも取りやすいです。あとは実装しやすい形で、と任せていただけるのもスムーズですね。今後のサービスアップデートも踏まえて改修にあたっています。

画像を軸としたシームレスな体験を提供

――吉岡さんから、先ほど「メディアとECサイトの相互送客」というお話がありました。これを皮切りに、ECサイトの支援にも注力されていくのですか?

吉岡 はい、特に「popIn Discovery」への広告配信と「popIn Action」の併用で、集客からコンバージョンまでのファネル全体を支援できると考えています。「popIn Discovery」はクッキーレスの配信でリターゲティングではないので、現在束ねる国内800メディアの広告枠にECサイトの商品を配信すれば、良質な新規ユーザーを獲得できます。また、一定のユーザー行動データが必要なレコメンドサービスと違って、「popIn Action」は画像が1,000点ほどあれば即導入できるので、ECサイトのオープン初日からでも使えます。そうした点も推していきたいですね。

――popInとして、直近の課題や展望は?

吉岡 中国や他国に比べて、日本はまだ「写真を撮って類似商品を検索する」という行動が広がっていません。今回は、渡邊さんのほうで作成したチュートリアルをサイトで紹介されていて、こうした案内も必要だと気づいたので、企画していきます。また、商品単体だけではなくコーディネートの写真でも類似を提案できると、より商品との出会いを促進できると思うので、その点も取り組みたいです。

 『ELLE』はグローバルで有名なメディアなので、アジア圏に「popIn Action」を紹介する際もとても反応が良く、今回実績を作らせていただいてうれしいです。今後は英・米などECが発展している国、またファッションの国であるフランスでも展開できればと思います。

――では渡邊さんから、今後の展望や期待をうかがえますか?

渡邊 「popIn Action」の導入が、お客様の気持ちにマッチした新しいブランドの発見など、ファッションをさらにお楽しみいただくきっかけになっているとうれしいですね。今後写真からの検索が浸透していくことで、例えばSNSや雑誌・TVなどの垣根を超えた、よりシームレスなお買い物体験も提供できると思います。将来的にはコンテンツ上の画像と連携するなど、また新しい取り組みもしていきたいですね。

popIn Actionに関するお問い合わせはこちら

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この記事の著者

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

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MarkeZine(マーケジン)
2019/05/22 11:00 https://markezine.jp/article/detail/31108