マリノスの行っているアンバサダープログラムとは?
MZ:では実際に行ってきたアンバサダープログラムの内容について教えてください。
大多和:特設サイトを立ち上げ、テーマを設けてスーパーファンの投稿を促しました。具体的には、観戦方法やスタジアムでの過ごし方を投稿する「スタジアム沸騰チーム」、おすすめのグッズ紹介などを行う「グッズ沸騰チーム」、その他のクラブの魅力を掘り下げる「クラブ沸騰チーム」の3つに分け、メルマガを通じてお題を投げています。

MZ:ファンがプロジェクトに対して主体的に関われる仕組みになっているんですね。
大多和:その通りです。さらに、デジタル上だけではなく、スーパーファンを対象にしたリアルミーティングも2018年シーズンから計12回行ってきました。毎回20~30名の方を募集して、我々と一緒にマーケティング施策や新グッズのアイデア出しなどを行っています。

MZ:アジャイルメディア・ネットワークさんに支援いただいているとのことでしたが、どこまで支援いただいているのでしょうか。
大多和:プログラムの枠組み作りやデジタル上のデータ取得、分析の部分などについての支援が大きいですね。ファンミーティングなどの運営に関しては、我々が主体となって行っています。
平成最後の鹿島戦、ファン企画のキャンペーンが成功
MZ:これまでで、最も成果を上げた事例について教えていただけますか。
大多和:印象深いのは、今年の4月28日に日産スタジアムで開催された対鹿島アントラーズ(以下、アントラーズ)戦にて行った「カウントダウン企画」です。マリノスとアントラーズはJリーグが発足して以降ずっとJ1で戦い続けています。ここ数年、その両クラブの歴史を意識し「The CLASSIC」という企画で試合を盛り上げてきた経緯がありました。

4月28日の試合は平成最後の対戦となることで、記念となる試合をどのようにホームで盛り上げていくか、アイデアを沸騰プロジェクトの中で募集しました。そして、スーパーファンの方々とリアルミーティングも行いました。
MZ:沸騰プロジェクトの中で「カウントダウン企画」のアイデアが出てきた、ということですね。
大多和:そうなんです。試合の運営スタッフを交えた3回ほどの会議の中で、試合3週間前から毎日両チームのこれまでの対戦を振り返る動画を配信する、クラブOBと現役選手との対談記事を公開する、そして両チームのファンが楽しめるようなフォトスポットを設置するといったアイデアが出てきました。
さらに当日に関しても、スーパーファンの方が細かい運営まで手伝ってくれたんです。ファンがファンを呼び、ファンがファンを楽しませるという、まさにCtoCの理想的な景色でした。

その結果、マリノスサポーターはもちろんアントラーズサポーターにも好評で、同日の観客動員数は38,651人を記録しました。これは4月末時点において今シーズンで一番の観客動員数で、2018年同日に行われたアントラーズ戦の入場者数27,438人を1万人以上も回る結果になりました。シーズン毎に月の試合数や背景も異なり単純に比較はできませんが、少なからず集客の結果に寄与したことは間違いないと思います。