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データで再構築するテレビマーケティング

データドリブンなテレビマーケティングの先駆け 日本テレビの「ASS」が仕掛ける挑戦


ASSは、CM枠を売買するプラットフォームのベースに

郡谷:2019年4月に始めた、枠ファインダという新サービスについて教えていただきたいと思います。TVISIONも枠ファインダにもデータを提供しているのですが、ASSと枠ファインダはどういう関係性なのでしょうか。

巽:枠ファインダはビデオリサーチさんが作ったシステムです。ASSをサービス化する時に、複雑な運行管理になるので最初からシステム化は必須だと考えていました。この1年はトライアル商品だったのでExcelで運行管理をしていましたが、今は枠ファインダを利用しています。

郡谷:そうすると、ラクスルさんが作ったテレビCMを買い付けるシステムもありますよね。あのサイトは、どんな立ち位置になるのでしょうか。

巽:ラクスルさんのサイトは、ラクスルさんの会員向けのサイトで、CM枠を購入された後、他の広告会社からご発注をいただいています。したがって、広告会社の向こう側にいるプラットフォーマー、もしくはプランニングエージェンシー、あるいは販売先のチャネルの一つだと位置づけています。

郡谷:つまり、ASSをベースとしたサービスやプラットフォームが次々と誕生しているということですよね。日本のテレビ業界において、こうした新しいシステムやサービスが広がっていくという手応えを感じますか。

巽:大いにあります。他の局でもこのサービスは有効活用できると思います。枠ファインダは、ASSを1年間使った結果、感じたことや使い勝手などについて広告主や広告会社からヒアリングしたものをビデオリサーチさんにお伝えし、作ってもらったシステムです。だから、各局が使うときもわかりやすいし、必要な機能は備わっていると思います。もちろん値付けの権利やどれぐらい枠を出すのかは、各局独自判断になりますが。

日本テレビが描く、テレビマーケティングの未来

郡谷:日本におけるAdvanced TVの拡大という文脈でも、御社の取組が強い注目を集めていますが、今後はどのようなビジョンを描いていますか。

巽:日本テレビは、ダイナミックプライシングやアドレッサブルTV、RTBのようなオークション方式の入札方法も研究はしています。当社は比較的、そういった最先端の研究ができる環境にあります。海外では実証実験も始まっているので、今後も注視していきます。

 海外に比べて今最も遅れているのは、先程も申し上げたようなバイイングツールとしてのプラットフォームづくりです。そのプラットフォームが米国のように複数あるのではなく、欧州のように一つになれば、僕が想像しているテレビマーケティングの未来につながるのではないかと思います。

 現状、様々なデータが同時多発的に出てきている状況ですが、データがどれか一つに収れんされることはないと思います。我々テレビ局は、どんなデータにも対応できるメディアであるべきです。でも、在庫管理の観点で、管理するプラットフォームは一元化したいですね。

郡谷:データは多様、しかしプラットフォームはワンストップということでしょうか。

巽:おっしゃる通りです。そういう世界観に対応できるようにしておきたいですね。ASSをやっていると、広告会社の方から、広告主と直接取引をするのかと聞かれることがありますが、まったくそんなことはありません。

 広告会社の皆さんは、今後も必要不可欠な、とても大切なパートナーです。一緒にこのビジネスを盛り上げ、広告主と広告会社の皆さんと一緒に市場を作っていきたいです。そういう意味で、僕は「テレビマーケティング」って本当にいい言葉だと思っていて、このテレビのリーチ力をもっと広告主にも広告会社にも有効活用していただきたいです。

郡谷:「テレビマーケティング」を今後広めていくためにも、私たちもさらに精進して、様々な可能性を皆さんに提示できればと思います。今日は本当に、ありがとうございました!

 

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この記事の著者

郡谷 康士(グンヤ ヤスシ)

TVISION INSIGHTS株式会社 共同創業者/代表取締役社長
東京大学法学部卒。マッキンゼー・アンド・カンパニーにて、事業戦略・マーケティング戦略案件を数多く担当。リクルート中国の戦略担当を経て、上海にてデジタル広告代理店游仁堂(Yoren)創業。2015年よりTVISION INSIGHTSを創業し、代表取締役社長...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2019/07/11 08:53 https://markezine.jp/article/detail/31428

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