企業に必要な二次流通との向き合い方とは?
MZ:二次流通されやすいブランドになると、一次流通での購入単価が上がる可能性があるのは、メリットですね。では、企業が二次流通を踏まえて商品設計やマーケティングを行う際、何に気をつけるべきなのでしょうか。
南坊:二次流通を意識するなら、消費者が購入後商品をどう評価するのかをしっかり考えなければいけません。これまでのマーケティングは「購入まで」のプロセスにフォーカスするのが普通でした。今後は、購入して以降、実際の使用期間でロイヤリティが高まっていくようにしなければ二次流通しにくいですし、その後のアップセル、クロスセルも見込めません。

そして、購入後も愛されるものにしていく上で、商品設計は欠かせないと思います。機能的であれ情緒的であれ、「そこにしかない普遍的な価値」を感じてもらえれば評価され、自然と流通が広がっていくでしょう。
MZ:普遍的に愛される商品作りが鍵になってくるんですね。
南坊:はい。今はSNSによって情報拡散しやすいため、YouTubeやテレビ番組をきっかけにバズが起きて、瞬間的に売れる商品もあります。ただ、メルカリ全体で見ると普遍性の高いものが売れていきやすい傾向にありますね。
つまり、一過性の瞬間風速的な売れ方よりも普遍的な価値を持たせ、長く市場で愛されるための商品作り、マーケティングに徹したほうが将来的には合理的だと思います。
マーケターならメルカリを見よう
MZ:普遍的な価値を持つものが流通していくというのを聞くと、メルカリで出品されている商品や価格をウォッチすれば何かヒントが得られそうです。
南坊:もし私がメーカーのマーケターだったら、頻繁にメルカリをチェックしていると思います。メルカリ上での自社商品の値付け、出品数などから、商品の人気傾向や需給バランスが取れているかどうかをある程度推測できます。
消費者自身が値付けするわけですから、顧客目線で見た商品の最適な価格がわかってしまうんです。その価格と小売価格を比較し、商品開発や価格設定、マーケティングに活かしていくと非常に有益なデータになるでしょうね。
MZ:確かに、そう聞くとメルカリは有益なデータに満ちあふれていそうです。そもそも、購入前にメルカリで検索して価格を調べるという人も多いと思うので、そこでの相場を知っておくのはマストになりそうです。
南坊:その通りです。また、最近ではメルカリのお客様の検索にも変化が起きています。これまでは商品名で指名検索している方がほとんどでしたが、今はブランド名やカテゴリーで検索し、これまで知らなかった商品に出会う人も増えています。メルカリ上には廃盤になった商品もあったりするので、下手すると企業のオフィシャルサイトより数多くの商品が載っている場合もありますしね。
この傾向から見ても、やはり二次流通プラットフォームが店舗やECと同等の「購入の場」の一つとして認識されているのではないでしょうか。