顧客IDの統合でお客様の“真の姿”を捉える
原嶋:店舗、ECと両方の体験を向上させていくということでしたが、店舗からECへの導線はどのように作られているんですか?

斉藤:当社の場合、オンライン・オフラインの会員IDは2013年に統合しています。 そのため、店舗のお客様もECのお客様も分け隔てなくコミュニケーションが取れる仕組みは既に構築できています。
店舗とECの顧客DBが別々に存在していた時は、それぞれでメルマガやターゲティングなどのアプローチを仕掛けており、お客様の状況を正確に把握することができていませんでした。たとえば、実店舗で購入した商品を気に入ってECで同じ商品を購入したお客様がいるとします。本当はリピートしていただいているのに、それぞれの販売チャネルで購入したということしかわからなかったのです。お客様の真の姿が見えていない状況でコミュニケーションを取り続けても効果が低いと判断し、DBの統合を図りました。
原嶋:かなり早い段階で、オンライン・オフラインの会員IDは統合できていたのですね。
斉藤:はい。当社はお客様の利便性を考慮して比較的早い段階で行うことができました。現在は実店舗もECも同じ本部に所属しています。
原嶋:実店舗もECも、本来追うべき指標は同じですしね。
斉藤:そうなんです。同じ部署にいることで同じKGIを持つことになります。よく起こりがちな実店舗とECの対立はほとんどなく、1つの目標に向かって一致団結できています。複数部署がつながり、融合しているという点では、組織そのものがオムニチャネル化できていると言えるでしょう。
お客様に対しても理想的なオムニチャネルを実現するために、実店舗経由でのオンライン売上の見える化など、店舗での接客効果を明確にできるような施策に取り組んでいく予定です。やはり、香りとテクスチャーが重要である以上、店頭での接客は今後ますますキーになっていくはずなので、今後はより注力していきたいと考えています。
「接客ノウハウの可視化」で顧客体験を向上
原嶋:店舗での接客効果を明確にするというのは、具体的にどのような施策でしょうか。
斉藤:まだ構想段階ではあるのですが、「接客ノウハウの可視化」を考えています。店舗で接客されたお客様が、その後オンラインで購入したかどうかは、現状計測できません。でも、その流れで購入いただいている方は一定数いるはずなんです。
そこを計測できれば、売上につながる接客ができているスタッフがわかり、その接客ノウハウを社内で共有することで、お客様により良い購買体験を提供できるようになります。今後はアプリを軸とし、顧客情報の取得と活用を行っていきます。

原嶋:近日、アプリも大幅にリニューアルされるそうですね。アプリを提供されている目的と、リニューアルにおける注力ポイントを教えてください。
斉藤:アプリは既存会員様向けに提供していて、現在約70万DLされています。当社は「LOVE YOUR BODY カスタマークラブ」という会員プログラムを運営しており、元々はプラスチックの会員カードを発行していました。現在は店舗スタッフの協力もあり多くのお客様にアプリをダウンロードしていただき、デジタル会員証をご利用いただいています。
ただ、当社の製品は毎週買うものではないため、カードを常に携帯されない方もいて、購入時にカードを忘れてしまうケースもあったんです。アプリ化すれば携帯する必要はなくなり、お客様の利便性向上に寄与できると考え、会員カードの代替としてアプリをリリースしました。
現状は会員カード・ショップ情報・ショッピングカート機能など基本的な機能のみを実装していますが、今秋実施するリニューアルでは、THE BODY SHOPの理念やストーリーを伝える場所として活用したいと考えています。