従来の方法ではNG?Z世代へのアプローチ方法
アプリを利用してもらうために企業は色々な手を使います。クーポンを配ったり、プッシュ通知を工夫したり、テレビCMやネット広告を打ったり……。言い換えると、企業は人と資金を投下してユーザーの利用を促進しているのです。
逆に言うと、この手法がマーケティングとして正解と思われているふしがあります。たとえば、最近では小売りや外食業界において、店舗内での訴求(メニューや壁などにアプリを訴求するメッセージを入れたり、スタッフから声がけをするように教育するなど)が一定上の成果がでており、それが業界内に広がっています。ただ、このやり方があらゆる世代のユーザーに通用するわけではないと、読者のみなさんも感じているのではないでしょうか?
特に、物心ついた時にはスマホが存在し、当たり前のようにスマホが生活に溶け込んでいるZ世代は、従来のマーケティングコミュニケーションではエンゲージできないと、悩んでいるのではないでしょうか。10年後の顧客を育てるために、今からZ世代とコミュニケーションを取る必要性に迫られているものの、ライフスタイルや物事に関する感覚が大きく異なるため、どういう打ち手を講じればよいのかわからない方も多いかと思います。
このZ世代については、「モノよりコトを重要視する」「SNSで情報をしっかり収集してからリアルの場で購買をする」「クリエイティビティや生産的・効率的な判断をする傾向が強い」など、様々な情報があります。しかし、それらの情報の多くは海外のZ世代に関するもので、日本のZ世代の輪郭を捉えるには不十分です。
"クローズドなSNSも好き"な、日本のZ世代の3つの特徴
では、まずは多くのマーケターが気になっている日本国内のZ世代について、ファクトベースでその特徴を明らかにしてきましょう。下の図表は、App Annieのデータをもとに作成した、国内Z世代である16〜24歳の男女別アプリセッション回数(アプリの利用頻度)の多いランキングです。


国内Z世代のアプリ利用の特徴を挙げると次の3点が見えてきました。
1、パブリックなSNSだけではなくクローズドなSNSも高頻度で利用
2、男性における女性向けアプリの利用頻度が高い
3、複数のチャットアプリを使い分けしている(チャットアプリの重複率30%超)
特に「クローズドなSNS」は、Z世代とコミュニケーションをとり、エンゲージメントを高めたいと考えているマーケターは知っておくべきです。これらのアプリ内ではものすごい熱量でコミュニケーションが交わされており、自分のポストしたチャットがものの数秒で画面から流れていくというスピード感で会話が行われています。

顔も見たことのない人同士が、あたかも友人のような関係のもと、プライベートな事や趣味嗜好の話、流行やトレンドの話などを会話しています。ここで流れている情報はもちろん粒度はありますが、Twitterのようなパブリック向けに発信されている情報とは趣が異なることは、これらのチャット系アプリを見ると体験できます。