最初の半年でやるべきことのリスト

このような状況に対する打ち手は以下です。
- データサイエンスセントラルの設立、コンセプトの策定
- 仕事のスピードを3ヵ月で1タームの徹底化、小さく早く動くこと
- 基盤の方針決め、エコシステムのアウトライン、バックキャストによる機能設計
- 分析チームのチームビルディング、人選、適性判断
これにMAの導入と、データの外部連携を2018年度下期のスコープに入れてスタートしました。この時点で、メンバーは確定的になっておらず、主に旧データサイエンスチームの統括(山上)、基盤チームのリーダー(山岡)と外部パートナー数名とスタートしています。
最も重要なこととして、3ヵ月タームで成果を残すことを徹底させました。リソースも限られているため、タームごとのミニマムマストについて、分析要件やその先の施策から逆算して優先順位をつけ、リソースの投入の選択と集中をしています。
分析チームは、当時、営業支援業務主体のオペレーターが数名おり、DBからデータを抜き取り、チャート化することを主な業務としていました。現在の顧客分析チームのリーダー(増原)は、「今考えると、抽出業務のことを”分析”と呼んでいた」 と振り返ります。
基盤・分析・施策。三つどもえの組織としてのデータサイエンスセントラル

コミュニケーション戦略を実行するために、それぞれ逆回転的に各組織の機能設計をバックキャストしています。組織の各機能については、次回以降の連載で詳しく説明します。
立ち上げ期のデータサイエンスセントラルの存在価値について、以下の2点を明示しています。
- コミュニケーション改善による売上寄与
- 顧客構造を明らかにすること
「1」については、マーケティングの戦略組織として当然求められるものですが、むしろ重要なのは、「2」の内容です。つまり、「どのような特徴の顧客が、何種類いるか」を明らかにする、ということです。
旅行業界のデータの特性
ここで少し、我々が取り扱う旅行会社の顧客データについてご紹介します。
「旅行」 は、とても情緒的な商材です。購買理由を合理性で説明できません。人はなぜ旅に出るのか? 様々な議論がありますが、少なくとも我々が対峙するのは、旅行へ行きたいと思った気持ちや、心だと言えると思います。旅行業界における顧客データは、小売業などの業界と少し違い、特徴があります。
- 購買スパンが年数回の頻度になる:一般消費財より長く、保険/自動車などより短い。
- 完全離脱/休眠がない、または判定しにくい:旅行の頻度は上記の通りのため、JTBのブランド力も手伝って、非常に長い期間の離脱後も復帰が多く見られる。
- 購入以降のステータスが存在する:購入は、旅行商材においては予約のステータスになる。以降、取り消し、出発と大まかに3種類のステータスとなる。出発日に至った段階で売上確定。
- データの連携先が多い:移動手段、宿泊施設といった商材関連の連携先と、販売メディアパートナーや、提携販売先が存在する。
このような特性があるため、データ全体のボリュームはトランザクションベースで比較的抑えられます。「2」から通常のRFM分析が適用しにくい、という特性があります。また、購入以降のステータスが存在し、購入はあくまで予約で、大量の取り消しが発生します。
皆さんの取り扱うデータは、どのような特性があるでしょうか? それぞれの特性によって、実行しやすい施策のフレームワークや、最適な基盤、アプリケーションの構成が変わります。
こちらのツール設定の詳細は次回以降の連載で説明します。