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ゲームアプリプロデューサーに聞く、競争に勝ち抜くための方法

飛躍の鍵は、ファン第一のメディアミックス戦略 ゲームアプリ「八月のシンデレラナイン」が注目される理由

アニメ放映の影響でユーザーは約4倍に

―― 最近では、テレビアニメの展開も行っていますが、ゲームへの影響はいかがでしたか。

山口:アニメ放映の影響でユーザー数が約4倍に増加しました。一時、App Store売上ランキングも25位まで上がりました。ここまでのランキング数値は、リリース時以来だったこともありとても嬉しかったですね。今までは男性ユーザーが中心だったのですが、アニメをきっかけに女性ユーザーも増えてきている印象もあります。

―― ゲームからアニメ化して成功している事例はあまり聞かないのですが、すごいですね。

山口:アニメが人気でゲーム化して成功するというパターンは多くありますが、ゲームからアニメ化して上手く発展した事例は多くないと思います。ソーシャルゲームのアニメ化の成功は難しいという定説を覆すことができたのじゃないか、と思っています。

 スマートフォンのゲームをリリースした後は、どんなタイトルでも徐々にユーザー数が減っていくものですが、チーム全体で地道に改修を重ねて継続率を高め、アニメ化をきっかけにユーザー数がかなり増えたことで、V字回復の流れが見えてきました。結果的にアニメに挑戦して良かったと思っています。

チャレンジを許容する組織文化が「ハチナイ」を強くする

―― 様々なメディアミックスを進める一方で、ゲーム自体もシステム変更やUI変更など様々な変化があったと思っています。ゲームの改修をする際、ユーザーさんの意見を取り入れることもあるのでしょうか。

山口:ありますね。元々「ハチナイ」は、諸事情あり(笑)、当初ゲームとしてはかなりプリミティブ(粗野)な状態でした。故に至らない点が多数あって、リリース初期にユーザーさんから指摘をいただいていました。

 一方で、世界観やストーリー、キャラクターに対しての評価はいただいていて。評価されている部分を、ノイズなくしっかり体感してもらえるようにしていこうと、年間計画を立てながら地道に改修作業を進めました。

 その際には、ゲームの継続率を目標として立てて、目標数値に到達するように、改修作業と並行して評価いただいている部分の質は落とさず、加えてメディアで話題も作っていきました

 開発現場メンバーの頑張りもあって、リリース2年目でようやく基盤部分の改修作業が終了し、よりゲームの質へこだわれるようになってからは、継続率が飛躍的に伸びて、目標としていた継続率を超えることができました。

―― リリースから数ヵ月でクローズしてしまうアプリもある中、ここまで継続的に戦っていける理由はなんだと感じますか。

山口:それについては、会社の理解が大きいと思いますね。「オリジナルIPである『ハチナイ』は長期間かけてでも、育てる意味がある」とプレゼンテーションして、会社に理解してもらいました。そういったチャレンジを許容してくれる組織文化のおかげで、可能性を信じて、継続的なコミックマーケットへの出展、アニメやライブの展開などアカツキ初の試みができて、結果的に実績も残せたと感じています。短期で判断していたら、この結果には、たどり着けなかったと思います。

 今、会社としてもオリジナルIPを作る重要性をより実感するようになり、PI室という新しい部署を立ち上げてIPの創出を目指しています。「ハチナイ」をより大きなIPに育てて行くことはもちろんですが、「ハチナイ」で培ったノウハウを活かして、これに続くアカツキオリジナルのIPタイトルを創出していきたいと思っています。

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この記事の著者

花岡 郁(ハナオカ カオル)

 ライター・編集者。1991年生まれ。上智大学神学部卒業後、アプリ開発などを手がける株式会社モンスター・ラボにビジネスプロデューサーとして入社。同社メディア『セカイラボタイムス』編集長を経て、マーケティング(オフライン責任者)・広報を兼任。同社事業のブランディングを担当後、2018年に独立。現在はBtoBマーケティ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2019/08/21 09:00 https://markezine.jp/article/detail/31640

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