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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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MarkeZine Day 2025 Retail

定期誌『MarkeZine』特集

社内外の垣根を超えて一つになる ユニリーバ×ADK、メディアチーム運営の舞台裏

プランナー兼営業という前代未聞の体制の発端

――先ほどのお話にあったように、元々は一般的な座組として代理店の営業担当がクライアントに向き合い、意向や要望を社内のプランナーやデジタル担当者に共有してプランニングする……という関係だったわけですよね。それがなぜ、営業、プランナー、デジタルがフラットにワンチームに属するようになったのでしょうか。

家村:この取り組みの特徴は二つありまして、一つが今ご指摘のあった「営業とプランニング、デジタルという三つの機能を一つに」ということ。もう一つの特徴は、その上で「プランナーが営業を兼ねる」ようにしたことです。メディアの専門性を持つプランナーに、アカウント(営業)機能も持たせて、直接窓口になれるようにしました。

 そうなった背景には、ユニリーバがグローバル企業として元々、メディアプランニング・バイイング領域とクリエイティブ・プロモーション領域の契約を明確に分けて考えられており、メディアプランニングとバイイングの専門性が比較的強く求められていたことがあります。

 通常の座組だと、営業は窓口として広範な相談に対応するため、専門性は実働しているプランナーにはなかなか敵わず、またどうしても若干のタイムラグが生じます。このスピード感に対する要望も強く、当社としてどうやって応えられるかをずっと模索していました。

――語弊があるかもしれませんが、直接プランナーと話せたら早いのに、という要望があったのでしょうか。

家村:そうですね。特にデジタルが一般化した今、スピード感に対する要望は他のクライアントからも聞いており、その傾向は強くなっていると思います。``

 ただ、もちろん営業の役割があるから全体を見通せて、最適化・効率化できる部分もあります。そこで、営業機能を飛ばすのではなく、プランナーが営業機能も兼ねるようにしたのです。これはADK社内の組織の調整や人材開発の改変も関わるので、簡単にはいきませんでしたが、スタッフ教育も含めて中長期で準備して、ようやく2016年11月に今のチームの原型が固まり、始動できました。

チームの皆がブランドを“自分ごと化”する

――確かに、新しい職種の開発にもなりますし、社内調整は相当難しそうですね。

家村:そうですね。ですがこの座組のもう一つの背景、当社側の理由にもなりますが、当社としても「今以上にクライアントの成果にコミットしていく」「そのための組織再編も辞さない」との指針が社長から出されていたんです。初めての試みで手探りでしたが、各専門スタッフをワンチームにするだけでなく、プランナーが営業も兼ねるという体制に漕ぎ着けました。

――それにしても30人とは、想像していたより大所帯という印象ですし、デジタルの担当者も含めてワンチームになっているのは先進的な感があります。

清家:デジタルのメンバーの統合は、2016年の時点で一気に行うのは難しく、最初は営業とプランナーの統合、および営業機能の兼務に留まっておりました。ただ、デジタル活用が当たり前になり、デジタルの技術進歩が急激に進むようになったので、専門外のスタッフが常に最前線をキャッチアップするのはとても大変です。そこで、デジタルのメンバーも早急に加われるように進めていました。今年に入ってようやく調整が済み、改めて30人規模で再編成したところです。

――まさに、柔軟に進化しているのですね。この体制になって、以前はご要望を挙げられていたというスピードなどの課題は解消されましたか?

塚本:意思疎通が速くなったので、課題は解消されていると思います。常に直接メディアプランナーとひざを突き合わせて話せるので、その場で具体的な意見や提案をもらえることも多いですし、それを受けて私たちも迅速に意思決定をすることができます。

 スピード以外だと、こちらの思いや事情を直接伝えられることで、私はとてもやりやすくなったと感じています。温度感も伝わりやすいですし、それを受けてプランナーの皆さんが自分ごと化してくださっているのも実感できます。

月1のレビュー会議が社員のモチベーションに

――デジタルも加わった現在の体制では、日々の業務や連携はどう進めているのですか?

塚本:ブランド数にすると相当の数が動いているので、ブランド担当者と私たちユニリーバ側のメディアのメンバーが連携しながら、具体的なプランニングを適宜ADKチームのメンバーと相談し、エクゼキューションまで進めていただき、レビューする、という流れですね。

 今、とても有益だと思っているのは、月に1度行う全員参加のデジタルのレビューミーティングです。前述のように日ごろは各ブランドで施策が動いているので、このレビューの場では各ブランドの成果を発表し、好事例を共有しています。特にデジタルの方々に加わってもらってからは、PDCAのサイクルも早く効果も一目瞭然なので、スピード感が増したと感じています。

清家:効果測定指標も、ブランドや施策によって一律ではないので、レビューの場でも指摘を受けながらブラッシュアップしているところです。ユニリーバ自体がチャレンジングな取り組みに熱心で、情報共有や施策の提案がどんどん進んでいくので、その環境もとてもありがたいです。

 また、レビューミーティングは我々にとってもモチベーションの向上にとても役立つので、有効だと考えています。最近の流れで、他社の案件でも具体的な内容は直接やり取りするスタッフが増えていますが、やはりクライアントの生の声を聞く機会は刺激になります。塚本さんのお話のように、確かに各人が担当ブランドを「自分のブランドだ」と思って進めているなと感じます。

塚本:レビューの前に「このままだと結果を説明しづらいよね……どうする?」といった相談をすることもありますね。

――もう、その口調から、完全にクライアントも含めたワンチームという感じですね。

塚本:そうですね、100%当社の仕事をしてくださっているとわかっているので、腹を割って話せるチーム体制になっていると思っています。

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この記事の著者

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2021/02/26 17:45 https://markezine.jp/article/detail/31779

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