ブランドのフィロソフィーが伝わるキャンペーンを
MarkeZine編集部(以下、MZ):まずは皆さんの担当業務を教えてください。
大倉:私は2008年にP&Gに入社し、2010年からシンガポールで日本を含め、アジア市場のマーケティングを担当しています。これまでにh&s、SK-II、ファブリーズ、パンテーンを担当し、現在は日本市場のヘアケア部門を統括しています。
中村:私はPARTYのクリエイティブディレクターとして活動しています。今回の取り組みでは、ストラテジスト、コピーライター、アートディレクターと一つのクリエイティブチームを作り、コミュニケーション全体のプランニングから映像やグラフィックなど各種クリエイティブの制作に携わらせていただきました。
関:私はPR会社のマテリアルでExecutive Storytellerとして活動しています。今回は、ブランドと社会がどのように手を握ることがベストであるかを考え、理想通りに手を握るためのストーリー設計を行い、ローンチ後も社会からのリアクションをコントロールし続けるサポートをお手伝いさせていただきました。
MZ:今回のキャンペーンですが、髪型にまつわる社会問題に切り込んでいったものだと理解しているのですが、どういった目的から今回の内容になったのでしょうか。
大倉:目的としてあったのは、今回対象となったブランドであるパンテーンの持つ「あなたらしい髪の美しさを通して、すべての人の前向きな一歩をサポートする」というブランドフィロソフィーに立ち返り、社会に広く伝えていきたいという思いでした。
メインターゲットの学生が抱えていた課題を企画に
関:そのフィロソフィーを伝えるためにP&G様では「#HairWeGo さあ、この髪でいこう。」というブランドメッセージを打ち出すことを決めていました。そして、今回の企画以前にも就活生の髪型にまつわる問題にフォーカスした「#1000人の就活生のホンネ」を展開してきました。
中村:そして、今回学生をメインターゲットに課題解決をしていくことになっていたので、学生の持つ髪型に関する課題とは何かと調べていきました。すると、2017年に地毛が茶色の学生が黒染めを強要されていたというニュースを見つけました。
MZ:2年前の問題を改めて取り上げたのはなぜでしょうか。
関:その問題が2017年に大きく取り上げられたのは、3年間黒染めについて指導された結果、頭皮が痛んで訴訟問題に発展したからなんです。しかし、その後も校則が変わるといった大きな変化は起きませんでした。学校によってはいまだに地毛証明書を提示しないといけません。
そのため、今回のキャンペーンでは、ブランドメッセージを正しく伝えながら、この黒染めに対する指導や地毛証明書の問題について考え直し、改善につなげることを目指しました。
MZ:なるほど、ではどのようなキャンペーンを行ったのか教えてください。