SNS上で学生から注目を集めている企業とは
次に、SNSと採用の関係について見ていきたいと思います。まず、下の表は「いいね!」やシェア、コメント、リツイートなどFacebookとTwitterでの総アクション数に加え、対象コンテンツについて取り上げた記事に対するSNS上における口コミなどの総数である「エンゲージメント量」をもとに、学生の注目企業上位20社を記載したものです。

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大手就活ナビサイトなどが実施している「人気企業ランキング」とは集計の方法が異なりますので、名を連ねる企業も大きく異なります。SNSやWebメディアを情報収集の主とする学生も多く存在する今、その領域で企業の情報が拡散され、注目を浴びることは採用広報に寄与するといえます。実際にサイバーエージェントやメルカリなどは、ここ数年世の中的にも、優秀な学生が多く集まる企業、という印象が強いのではないでしょうか。
トリプルメディアを活用した採用マーケティング
メルカリは、「メルカン」というオウンドメディアで学生やデジタルネイティブ世代がストレスなく消化できるコンテンツを多く発信。これにより、採用広報を最大化しています。働き方や制度、経営のメッセージなど、バリエーションのあるコンテンツを配信しており、このメディアを見れば、カルチャーが多角的に伝わる内容になっています。
今の学生にフィットした、多様な価値観や興味領域に対応するコンテンツが多数揃っていて、ターゲットの理解促進をデジタル上で行える環境といえます。最近では、2019年7月にリリースした記事で、執行役員が会長室での1年間を、起承転結でまとめた内容のコンテンツ「メルカリの経営改革を行う『会長室』の1年を振り返る」が1,100ものエンゲージメントを獲得しています。
企業がオウンドメディアで発信するコンテンツのエンゲージメントとしては、非常に高いパフォーマンスを発揮しており、注目企業の経営という切り口に加え、シンプルなフォーマットで内容が伝わり、SNSなどでも展開されやすいという点がポイントだと考えます。こういったコンテンツを多く発信できているメルカリは、コンテンツマーケティングの手法を上手く採用に活かしている企業です。
一方、より学生の情報収集領域に近い、SNSなどのアーンドメディアを上手く活用している企業として挙げられるのがサイバーエージェントです。特にWantedlyでのコンテンツが多くエンゲージメントを獲得しており、若手社員の活躍や20代社員の働き方に関する情報を、学生向けに発信し共感を得ています。以下はサイバーエージェントがWantedly内で、直近半年で最もエンゲージメントを獲得したコンテンツ「夏を制するものは就活を制す~最高に熱い夏を過ごした内定者に聞く、サマーインターン体験記~」です。内定者という、就活生に限りなく近い存在をアサインすることによって、より学生目線での魅力や興味関心の強化ができているように感じます。
最後に、採用領域での事例はまだ少ないですが、ペイドメディアを活用して採用広報のパフォーマンスを向上させている企業としてパナソニックを紹介します。パナソニックは、FastGrowという若手経営人材を読者に多く抱えるメディアでのPRタイアップによってエンゲージメントを獲得しています。
最近の取り組みでいうと、同じミッションを持った、学生に影響力のある経営者や、オピニオンリーダーを巻き込み「『ミッションがビジネスを加速させる』なぜ『知るカフェ』柿本は、設立3年でグローバル展開できたのか?」などを展開しています。
自社のリソースやファクトだけでなく、メディアやインフルエンサーを活用して採用広報を最大化することも可能です。そして、ベンチャー企業や外資系企業の人気が上がり、特に日系大企業は昔のようにネームバリューだけでは勝負できない環境にありますので、ペイドメディアによってプッシュ型で情報発信を行うことも今後ますます重要となります。