生活者自らに“気づきを与える”調査手法
生活者の価値観、これからのありたい姿を捉えることを目的に、PACインタビューを実施した。PACインタビューは、臨床心理の分野で活用されるPAC分析(Personal Attitude Construct「個人別態度構造」分析)を取り入れた調査手法である。
PAC分析概要
PAC分析は、内藤哲雄PAC分析学会会長(前信州大学・現福島学院大学:社会心理学・臨床心理学)によって発明・開発された研究法である※2。臨床心理の現場では、問題の当事者がPAC分析を用いたカウンセリング(対話)により、自らの潜在的な態度構造や意味に気づくための探索を行う研究法として活用されている。インテージでは、PAC分析をもとに「PACインタビュー」という独自手法を保有しており、今回の自主調査で活用した。
PACインタビューの進め方
生活者との対話、生活者自らが気づきを得ることに重きを置き、インタビューを行う。
1)事前準備:インタビュー素材であるマインドディスカバリーマップ(解析マップ)の生成
 -設定されたテーマについて、複数のワードを自由連想で回答
       -連想されたワードをペアにし、総当たりで「近い〜遠い」を評価
       -得られたデータを解析し、マインドディスカバリーマップ(解析マップ)を生成
2)インタビュー実施
 -自作マップの生成:1)で回答されたワードを空白のマップ上に、「意味合いの近いものは近く、遠いものは遠く」に並べてもらう(自作マップ)
       -自作マップ完成後、ワードが並べられた意図を説明してもらい、設定されたテーマがどのような構造で成り立っているのか対話しながら聴取していく
       -解析マップの呈示:自作マップと解析マップのギャップに着目し、生活者自ら考え、推察する
本インタビューにより、生活者は自らを問い直し、自身に内在している暗黙知を推察していくことで、「実はこうなのかもしれない」、「こうしたほうがよいのかもしれない」と、気づきを得ていく。
分析者は、その自らの気づきへの態度変容を未来への兆し(フォーサイト)と捉え、その姿をサポートするためには、どういった商品があったらよいか、を考えることができる。
※2 インテージは2018年12月にPAC分析学会で論文発表を行った。
