本質的にCXを考えると、重要なのは“検索の速さ”である
「ECサイトの商品検索で重要なのは、絞り込みでなく並べ替えである」と山崎氏。全商品がヒットしていていも、良い順番に並んでさえすれば、消費者は買い物しやすいからだ。
また、値段順・新着順に加え、消費者に強いニーズがあるのは“評価順”であり、ここでレビュー施策が活きてくる。山崎氏は、「レビューによって、OMOなりCXが向上するだけでなく、検索の使い勝手も良くなります」とし、連携して取り組むメリットに言及した。
ZETAの商品検索エンジン「ZETA SEARCH」は、大手ECの導入シェア30%を誇っている。導入後の継続率は98%で、他社乗り換えのケースはこれまでの11年間で一度もないというから驚きだ。そして「ZETA SEARCH」の強みは、検索の処理速度にある。
「私が思うに、検索エンジンは機能ではなく、速度が重要です。処理速度が速ければ、どんな素晴らしいマーケティングのアイデアも実装できるからです」(山崎氏)
「ZETA SEARCH」の処理速度については、実装後10倍の高速化を実現した例や、12台の検索エンジンを並べているにも関わらず処理速度が遅くて困っていた某企業が「ZETA SEARCH」1台で3倍の高速化を実現したという実績もある。
このように商品検索の高速性を武器にすれば、レビューなど他の施策も連携させ、より効率的・効果的にCXを高めることができる。
よってZETAは、レビュー・商品検索・レコメンド・パーソナライズなどをトータルで最適化していくソリューション「ZETA CXシリーズ」を提供。中でも、OMOソリューション「ZETA CLICK」は、リアルとデジタルをつなぐCX・OMOソリューションの決定版として今夏リリースされたもので、事例こそまだないものの、企業からの引き合いは多いそうだ。
今後数年で、店頭におけるEC匿名購買が広がる
セッションではOMO強化を放置するリスクにも話が及んだ。
消費者が店頭で商品の情報を検索すると、SEO順の高い大手ECサイトがヒットしてしまう場合が多い。そこで価格や評価を比較検討されると、店頭から大手ECサイトに逃げられてしまう可能性が出てくるのだ。
これを避けるためには、店頭で商品情報の提示・購入・決済・発送までをワンストップで提供する必要がある。そうなった時、これから起こる消費者の行動の変化について、山崎氏はこう予測する。
「今後数年で必ず、店頭におけるEC匿名購買が広がります。その暁には、POP UP店舗というものが、かなり重要なマーケティングチャネルの一つになってくると思います」(山崎氏)
今のタイミングで取り掛かると実験台になってしまうリスクもあり、よく考える必要があるとしながらも、「POP UP店舗の動きに着目してデジタルマーケティングの動向をキャッチアップしていただければ」とセッションを結んだ。