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NTTコミュニケーションズ、日本航空に学ぶ 顧客志向のマーケティングテクノロジーとその実践方法

BtoB、BtoCそれぞれで直面する問題点

 そこで市川氏は、「営業に声がかかる前の行動を捉える」ためにもMAを導入した。

 「6割の中には、事前に弊社のWebサイトを訪問してくれた人たちもいて、その中で営業部が呼ばれれば勝負ができますが、呼ばれなければ何があったかがわからない。MAなら匿名ユーザーでも弊社サイトへ来訪があると、以後すべての行動が記録可能です。約6割の中から新たなユーザーとの接点が持てる可能性も出てきます。実際、数年前から弊社でMAを導入して、一定の成果を挙げています」(市川氏)

 ただし、「MAが捕捉できるデータはあくまで自社サイトに関わる行動だけ」である。

 「自社サイトのターゲットとなる顧客層全体のうち、実際に自社サイトへと来る割合は1~2割でしょうか。MAは素晴らしいツールですが万能ではありません。自社サイトに来たことがない(MAで捕捉できない)残り8割、9割の顧客をどう捉えるのか? 弊社では、弊社サイトに来なくても捉えられるサードパーティデータを活用しています」(市川氏)

 塚本氏は、日本航空の取り組みについて「世の中のトレンドにあわせて、結果として様々なツールを入れてきた」と総括する。

 「BtoCで旅行を扱うなど、業界特性としてWebサイトにはとても多くのユーザーが来訪します。非常に多くのご利用がある状態だからこそ、時代にあわせた対応が必須。昨今では個人情報の問題がありますし、相応の工夫も不可欠です。

 日本航空が元々海外のトレンドに敏感な会社なので、1995年にはWebサイトを、翌96年にはECサイトを作り運営してきました。中には20年以上、当時必要だと構築したものが今も残ったままの状態です。クラウドがなかった時代から様々なツールを組み合わせて乗り切ってきています」(塚本氏)

「データを蓄積してやりたいこと」を明確化しておこう

 2社の現状を確認した後、田島氏は次の質問として「今、注目しているテーマやテクノロジーは?」と投げかけた。「自社サイトにすべてのターゲット層が来訪するわけではない」という問題認識を表明した市川氏からは、「CDP(Customer data platform)」が挙がった。

 「日本ではDMPならよく聞いても、CDPはあまり聞かれません。一方で、海外イベントに参加するとCDPはとてもよく出てくるワードです。MAだけでなく外部のサードパーティデータも扱い始めていますが、まだまだ顧客データとつながっていない状況が残っています。データはあればあるほど、ターゲティングが精緻化されます。散在していたデータをつなぎ合わせていくのに、既存の顧客情報と匿名情報をCDPによって連携したいと思っています」(市川氏)

 「データベースを作ること自体はさほど難しくはないはず」とした田島氏は、「問われるのは蓄積した後では?」と問題提起すると、両氏がそれぞれの見解を示した。

 「専門的に言うならオーケストレーション(管理の自動化)で、いかに打ち手へと活かせるかです。仮に売りやすい顧客データがリストアップされていても、そのデータで何をすればいいのかがわかっていないと意味がありません。しかも、マニュアルの作業になると効率が悪いので、CDPに自動で指令を出せる、打ち手のオーケストレーションが可能な機能も期待したいですね」(市川氏)

 「しっかりやりたいことを明確にしておくことと、柔軟に対応できる仕組みを作っておくことが必要です。きちんと設計できているかにかかります」(塚本氏)

 他に、塚本氏は注目しているテクノロジーとして「AI」を挙げる。

 「ベンダー側からCDPとセットでAIを提案される機会が多いですが、なんでもAIと言われているところがありますよね。事業主側も目利きが必要です」(塚本氏)

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大きな課題がはらむ外部データの取り扱い方

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この記事の著者

遠藤 義浩(エンドウ ヨシヒロ)

 フリーランスの編集者/ライター。奈良県生まれ、東京都在住。雑誌『Web Designing』(マイナビ出版)の常駐編集者などを経てフリーに。Web、デジタルマーケティング分野の媒体での編集/執筆、オウンドメディアのコンテンツ制作などに携わる。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2019/10/21 10:00 https://markezine.jp/article/detail/32072

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