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マーケター必読!論文のすすめ

ポリモルフィック社会の到来 多型化する時代のマーケティングを考える

多型化する社会

 私は、これからの社会は多型性(ポリモルフィズム)がはっきりと表れてくると考えています。ポリモルフィズムは自然科学においては広く使われている言葉です、多型性、多様性、多態性などの意味で用いられています。たとえば、生物の世界では多型は一般的な現象です。社会性昆虫のアリは同じアリの種であっても、あるアリは女王アリとなり生殖活動のみを行い、他のアリ、働きアリなどはまったく生殖機能を持たずにある決められた役割を果たします。

 もとより、人間社会は多型・多様であり、極めてポリモルフィックな世界だと思います。たまたま大成功を収めた現在の工業化社会を支えている技術体系が求めた経済・社会構造が、20世紀には大量生産・大量販売のマス・マーケティングであったと考えるべきだと思います。

 しかし、ここ数十年に及ぶ情報革命の進展により、インターネット、人工知能、ビックデータ、IoT、Fintechなどが、いよいよ日常的に私たちの生活に実装される中で、人々の多様性・多型性を受け入れる新たな技術的な体系が社会的に徐々に浸透してきています。人間も生き物ですから、技術基盤が整えば、自然の摂理に従うはずです。メーカームーブメント、ユーザー・イノベーション、クラウドファンディングやビットコイン、シェアリング・エコノミー、サブスクリプション型のビジネスモデルなど、これまでに見られなかった新しい形態のビジネスもつぎつぎと生まれてきています。

 このような現在進行形の大きな変化は、社会の多型(ポリモルフィズム)をこれまでになく増加させていくように思います。そして、これらに共通する大きな特徴は、ポリモルフィックな現象が、各々のローカルにおいてリアルタイムで同時並行的・連続的に生起していることでしょう。

 さらに、おなじ仕掛け・仕組みであってもポリモルフィックを志向では、ローカルの問題はローカルで解く、必ずしもグローバル最適を志向する必要がない点は重要な特徴です。たとえば、ふるさと納税や道の駅でもプラットフォームとしては同一であっても、それぞれの地域によって振る舞い方がまったく異なることを見てもこの点を確認することができます。このような変化は、私たちの生活のあり方・価値観・ライフスタイルに変更を迫り、同時にマーケティングの考え方・役割にも修正を求めていくことになるでしょう。

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この記事の著者

古川 一郎(日本マーケティング学会 会長)(フルカワ イチロウ)

武蔵野大学 経営学部長/日本マーケティング学会 会長
東北大学助教授、大阪大学助教授、一橋大学大学院商学研究科教授を経て現職。

主要著書
『マーケティング・リサーチのわな』(有斐閣、2018)
『地域活性化のマーケティング』(共著、有斐閣、2011)
『いま・ここ経営論』(共著、東洋経済新報社、2010)
『反経営学の経営』(共著、東洋経済新報社、2007)
『超顧客主義経営』(共著、東洋経済新報社、2003)
『マーケティング・サイエンス入門』(共著、有斐閣、2003)
『デジタルライフ革命』(共著、東洋経済新報社、2001)
『出会いの「場」の構想力』(有斐閣、1999)
など多数。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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2019/10/09 08:00 https://markezine.jp/article/detail/32126

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