SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

直近開催のイベントはこちら!

MarkeZine Day 2025 Retail

MarkeZine Day 2019 Autumn

継続率99.5%を誇るSmartHRのカスタマーサクセスチームが、顧客のために“あえてやらない”こと

アップセルチャレンジは営業と連携

 次に取り組んだのがアップセルチャレンジだ。料金プランを刷新し、機能に応じて3つの料金プランを設定。同時にオプション機能も販売した。アップセルで重要なのは、既存顧客に対するアプローチである。高橋氏が留意したことは、「カスタマーサクセス担当として顧客側の視点に立つこと」だったという。

 「カスタマーサクセスのミッションは、製品の魅力を伝え、顧客の課題解決に寄り添うこと。そのため、料金プランの話は担当営業に任せるようにしました」(高橋氏)

 オンボーディング体制は順調に機能した。ただし、新たな課題も発生した。それは、SmartHR側の人手がかかることと、オンボーディングがうまく機能しない顧客に対するフォローが後手に回っていたことだ。高橋氏は、「サービスの成長スピードを考えると(この課題は)早めに次の策を考える必要がある」と指摘した。

 こうした取り組みの結果、NRR(Net Retention Rate:サブスクリプションの月額継続収益)は、2019期中の実績で125%となった。その主な要因は、既存ユーザーからの売上増加である。これを達成するためには「解約率の抑制」と「コンスタントな売上増」を同時に実現しなければならない。高橋氏は、「そのためには顧客に愛される製品を提供しつづける必要がある。我々はそれを実現し続けたい」と力説した。

経営層がカスタマーサクセスに忠実であれ

 高橋氏は「こうした取り組みはカスタマーサクセス部門だけで取り組むと失敗する。会社組織全体でカスタマーサクセスを意識する必要がある」と警鐘を鳴らす。

 「『マーケティングだから』『営業だから』『開発だから』と言い訳をし、カスタマーサクセスに関係ないと思うのは危険です。カスタマーサクセスは、顧客がサービスを認知するところから始まっているのです」(高橋氏)

 セールス部門との取り組みとして重要なのは、継続への意識を持ちながらも新規獲得を追うこと、継続利用が難しそうな顧客をとらないマインドを持つことだ。

 「新規顧客獲得にチャレンジすることはもちろん良いですが、その場合はカスタマーサクセスを念頭に置くことが重要です。場合によっては、顧客からの導入依頼を断るケースがあっても良いと思います。一方、解約が発生した場合には、その原因を丁寧に分析することが大切です」(高橋氏)

 最後に高橋氏は、「サブスクリプションモデルは信頼をつかむことが大事であり、各セクションで適切な期待値コントールを行う事でカスタマーサクセスを実現できる。全社一丸となってカスタマーサクセスに取り組むには、経営層がカスタマーサクセスに忠実である必要がある」とコメントし、講演を締めくくった。

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
関連リンク
MarkeZine Day 2019 Autumn連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

鈴木 恭子(スズキ キョウコ)

 東京都出身。週刊誌記者などを経て、2001年IDGジャパンに入社。「Windows Server World」「Computerworld」などの記者・編集を経て2013年にITジャーナリストとして独立。主な専門分野は組込系セキュリティ。現在はIT(Information Technology)とOT(Opera...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2019/10/28 09:00 https://markezine.jp/article/detail/32163

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング