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「3ヵ月継続で解約率が下がるから月額39円に」ファッションサブスクのメチャカリに学ぶ成功の秘訣

 MarkeZine編集部では、10月18日(金)に「MarkeZine Trend Seminar vol.3」を開催。このセミナーでは毎月刊行している定期誌『MarkeZine』の直近3号を取り上げ、取材したキーパーソンを招いてより詳しく解説してもらった。全3部のうち第1部では第43号(2019年7月号)の特集「サブスク・ビジネス大全」にてお話をうかがったストライプインターナショナルの澤田昌紀さんが登壇。同社が運営するファッションサブスクリプション「メチャカリ」を事例として、サブスク・ビジネスの成功の秘訣を尋ねた。

メチャカリとは?

 全3部で開催したMarkeZine Trend Seminar vol.3、第1部ではメチャカリを運営するストライプインターナショナルの澤田昌紀さんにお越しいただいた。メチャカリは今でこそ黒字化し波に乗っているが、最初から順風満帆なわけではなかったそうだ。そこで、澤田さんにはメチャカリがどのようにして軌道に乗れたのか、サブスク・ビジネスに取り組むためのポイントやアドバイスについてうかがった。

澤田昌紀さん
澤田昌紀さん:ストライプインターナショナル
グローバルファッションEC本部 メチャカリ部 部長

 サブスクリプションに関心のある方は既にメチャカリについてはご存知かもしれない。従来のファッションレンタルといえば都度料金を支払う従量課金制が多かったが、メチャカリでは月額5,800円(※)から新品の洋服をレンタルできる。手元に置けるのは3着までという制限があるものの、月額制で何度でもレンタルできるのが特徴だ。

 澤田さんによると、2015年にサービス開始した当初からすべて自社ブランドの新品を貸し出していたにもかかわらず、レンタルというだけで中古品のイメージを持たれていたという。これはファッションレンタルといえば中古品を使い回すイメージが消費者の間ででき上がっていたため。メチャカリでも当初はファッションレンタルと称していたが、そのイメージを振り払うために現在ではファッションサブスクリプションと呼ぶことにしているそうだ。

 ここで疑問に思うのは、なぜすべて新品を貸し出せるのかということ。これは、ストライプインターナショナルが別の事業、すなわちUSEDの商品を販売するECを運営しているから。ZOZOUSEDとも提携し、新品でレンタルされた商品はUSED ECで販売するという流通網ができ上がっているのだ。

 ファッションには季節性があり、特に厚着をする冬が商機だという。メチャカリのユーザーが増えるのも冬。コートなど高価な商品はレンタルしたほうが安く済むからだ。また、60日間レンタルし続けると、そのまま商品がもらえるのも大きなポイント。たとえば、1ヵ月間に1万円のコートを3着借りれば3万円となり、既に月額料金を大幅に超えていてお得だが、2ヵ月間レンタルし続ければ1万1,600円(月額5,800円×2ヵ月)で3着とももらえることになる。

 夏場であれば浴衣のように、機会は少なくても着ることがある商品もレンタルしたほうが安上がり。いろんなアイテムを着こなしたいという需要を満たすだけでなく、着る機会の少ない高価なアイテムも揃っているのがファッションサブスクリプションの強みだと言えるだろう。

※価格はすべて税抜。

サブスクは会員数と解約率を見る

 澤田さんは、サブスクリプションでは会員が増えると儲かる仕組みを作ることが大切だと話す。では、サービス開始とともにどうやって新規ユーザーを増やせばいいのか。方法は企業や事業の規模によって様々だが、メチャカリの場合は同社社長の石川康晴さん肝煎りのプロジェクトだったため、億単位の予算を駆使してマス広告を実施したという。とにかく認知を高めることに注力したのだ。

 また、澤田さんはメチャカリが既成概念を変える必要のあるサービスだったと強調する。つまり、洋服は買うものだという考え方を、借りるものだという考えに変えていかなければならなかった。それにはやはりマス広告が効果的で、今や関東のF1層ではメチャカリの認知率が10%を超えているとのこと(商品の大半もレディース)。

 サブスク・ビジネスでは会員数の他、解約率も重要だ。ファッションサブスクリプションなので着たい服があるかどうかが第一だが、それについては同社と他社合わせて150以上のブランド、常時40万点以上の在庫でカバー。むしろ商品点数が多すぎてユーザーが選べないことが課題になるため、パーソナライズ(レコメンド)に力を入れている。

 では、それ以外に解約率を下げるためにどんなことをしているのだろうか。澤田さんによると、借り換えが増えるほど継続確率が高まることがわかっているという。それもあって、パーソナライズとレコメンドで借り換えを促しているのだ。

 加えて、チャットボットの役割も大きい。他のアパレルECではまだスタイリング提案に対応しているチャットボットは少ないが、同社ではチームラボに依頼してパーソナライズスタイリングAIチャットボットを開発。対話型のAIが実装されており、ユーザーが今借りている商品に合った商品をお薦めしてくれる。借り換えをしていないユーザーには借り換えを勧める通知を行っており、チャットボットを使っている人のサービス継続率は高いそうだ。

 解約率について目安となる期間として、澤田さんは「3ヵ月間」を挙げる。3ヵ月間継続すると、4ヵ月目以降の解約率がぐっと下がるのだ。そのため、いかに3ヵ月間継続してもらうかがサブスク・ビジネスの鍵だと言えるだろう。であれば、ユーザーのモチベーションを保ち続けることが重要になる。メチャカリであれば、いかに借り換えを提案し続けられるかだ。

 今、メチャカリでは新しい試みとして「3ヵ月間は月額39円」という破格のキャンペーンを行っている。とにかく最初の3ヵ月間を乗り越えてもらうための金額設定だが、39円×3ヵ月で117円と考えると、この金額で洋服をレンタルし放題というのは恐ろしささえ感じられる。しかし、まず利益度外視で多数のユーザーを獲得し、そのあとマネタイズを考えるというのはサブスク・ビジネスでは常套化している。メチャカリでの結果はいかに。

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この記事の著者

渡部 拓也(ワタナベ タクヤ)

 翔泳社マーケティング課。MarkeZine、CodeZine、EnterpriseZine、Biz/Zine、ほかにて翔泳社の本の紹介記事や著者インタビュー、たまにそれ以外も執筆しています。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

福島 芽生(編集部)(フクシマ メイ)

1993年生まれ。早稲田大学文学部を卒業後、書籍編集を経て翔泳社・MarkeZine編集部へ。Web記事に加え、定期購読誌『MarkeZine』の企画・制作、イベント『MarkeZine Day』の企画も担当。最近はSDGsに関する取り組みに注目しています。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2019/11/06 07:00 https://markezine.jp/article/detail/32269

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