オンオフ統合した分析で効果も見える化
続いて原氏は、これまでの施策をどのようにして効果検証しているのかを明かした。

「アンケートによる定性調査と、広告分析ツール『マゼラン』を活用した定量分析を合わせた統合分析に取り組んでいます。KPIはカード会員の獲得に設定し、HP・リスティング経由、アフィリエイト経由の2つの申込チャネルに分け、どのチャネルをたどって申込に至ったのか、どのチャネルの貢献度が高いのかを検証しました」
その結果わかったのは、HP・リスティング経由の申込では、ブランド訴求のテレビCMに接触後指名検索をし、リスティング広告からWebサイトに流入して申込という流れが一番多いことが明らかになった。中長期的な効果を狙っていたブランド訴求のテレビCMが、短期的な成果に貢献していたことに対し原氏は「意外でした。統合的な検証を実施しなければ、まず発見できなかったでしょう」とした。
一方、アフィリエイト経由の申込に関しては、キャンペーン訴求のテレビCMが圧倒的な成果を見せていた。キャンペーン訴求のテレビCMを見た後に比較系のアフィリエイトサイトに流入、申込という流れが、アフィリエイト経由の申込の約50%を占めたのだ。
三井住友カード流・統合マーケティング3つのポイント
ここまでの検証結果をもとに、三井住友カードでは改善にも取り組み始めている。どのような予算配分が1番効果的なのかをシミュレーションし費用を再配分。申込数に関しても0.7%増加すると見込んでいる。
「シミュレーションを行うことで、様々なことが発見できました。同じCM素材を流すならテレビよりWebのほうが効率的など、これまで感覚的に捉えていた部分が定量的に確認できるようになったことが、非常に大きな収穫です」
現在は、その結果を踏まえ、テレビCMの予算を少し減らし、Web広告へシフト。キャンペーンも長期間で行い、動画や記事広告、マンガだけでなく、テレビと相関関係の高いTwitterにも注力していくという。
そしてセッションの最後に原氏は、統合マーケティングの成否を左右する3つのポイントとして「ビジョンの共有」「組織運営」「効果検証」を挙げた。
「三井住友カードの統合マーケティングは、まだ踏み出したばかりではありますが、数字からは手応えを感じています。当社ではこれを機にマーケティング本部を創設しました。試行錯誤しながら進めてきましたが、我々がやってきたことは正しかったと実感しています」
今後も、メンバー全員で話し合って決めたブランディングメッセージを効果的に活用しつつ、シミュレーション通りの成果が出るよう今後も統合マーケティングを推進していくという。