資生堂「レシピスト」では2つのアカウントを運営
ゲストとして資生堂ジャパンの服部裕子氏とセールスマーケティングのトータルサポートを手がけるテテマーチの三島悠太氏が壇上に招かれ、Instagramをブランディングに活用した事例として、スキンケアブランド「recipist(レシピスト)」のケースが紹介された。
「レシピストは20代前半の女性を主なターゲットとしています。20代女性にヒアリングしたところ、多くの方の行動としてスマホは必ず手にあり、特にInstagramは毎日使っているということでした。そのため、メインの接点となっているInstagramを中心に置くことにしました」と服部氏。
そして、エンゲージメントを高めることを目的とした公式アカウントと、それとは別に、認知を目的とした「たおりゅう」というキャンペーンアカウントの2つを立ち上げることにした。レシピストの全体的な広告宣伝企画とたおりゅうアカウントの運用については博報堂が担当し、公式アカウント運用をテテマーチが担当している。
「公式アカウントは、商品訴求だけでは飽きられてしまうので、毎月テーマを設けて、女性の1日を描いています。そうしたシーンと商品紹介と半々くらいで投稿しています」と三島氏。
一方、博報堂で運用しているプロモーション目的のたおりゅうアカウントは、架空のカップルとして、女優の土屋太鳳と俳優の横浜流星を起用している。これは、友達のカップルアカウントをフォローしているように感じさせ、20代女性の共感を得るためだという。また、レシピストの記者発表会をInstagramでライブ配信したことでも話題を集めた。
Instagramを中心に設計したクロスメディア戦略
レシピストでは交通広告も活用したが、そこからもInstagramにつなぐ設計をしたという。
「駅広告もすべてスマホで撮った縦長の写真を使い、コピーにハッシュタグをつけることで、Instagramをイメージしたデザインにしました。また、エリアによって写真を変えることで、『うちのエリアではこんな写真だった』と利用者が投稿したくなるような設計をしました。その結果、期待以上の認知を獲得できました」と服部氏。
竹林氏は、テレビだけでは若年層のリーチが難しくなってきており、SNSを併用したいという広告主も増えてきている多いと語る。そして、InstagramやFacebookを併用することで、テレビよりずっと少ない予算でリーチが拡大できるというデータを提示した。これによると、テレビに1億円投資すると20~34歳男女のターゲット層に対して40.7%のリーチが獲得でき、加えて1,000万円の予算でInstagramとFacebookを併用すると、重複を除いた純リーチが14.1%増えたという。
また、Instagram広告に使用する画像は、フィードの中でエンゲージメントの高いものを選ぶということもした。
「Instagramは自分の好きなものだけが表示されるメディアなので、ブランド目線でメッセージを入れてしまうと、その瞬間に嫌がられてしまいます。ターゲットに寄り添って共感を得ることを一番に考え、そのあとにブランドの伝えたいことや広告を少し入れるというように配慮しました」と服部氏は語る。
ブランディング目的のInstagram活用について竹林氏は、「フェーズによってやるべきことが変わっていく」とし、マスメディアを含めたコミュニケーション戦略の設計が重要であることを強調した。