実際のクルーとの自然なやりとりを撮影
MZ:動画はどのように制作し、どういった点を工夫されたのでしょうか。
南部:まず、ヤバタンさんのいつもの投稿や動画でのキャラクターを踏まえて、弊社でおおまかなストーリーボードを作りました。TikTokユーザーの関心事や響くポイントは常に弊社で研究していますので、そういった要素も盛り込んでいきました。それをヤバタンさんにご確認いただきながらすり合わせをしています。具体的なセリフ回しや表現は、ヤバタンさんらしさが出るようにお任せしています。オチの部分も何パターンか撮影しました。
小山:弊社からは、チーズのシズル感と、100%モッツァレラチーズを使っていることの2つを、徹底的に伝えたいとお願いしました。それ以外は、あえてお願いしていません。あまりいろいろ指示をしてしまうと、普段のヤバタンさんらしさが出てこなくなってしまうという懸念があったからです。私も撮影に立ち会ったのですが、ヤバタンさんが楽しそうに撮影できているかとか、クルーとのコミュニケーションはうまくいっているかというのを見るようにしていました。皆さん、終始すごく楽しそうでしたね。
MZ:出演しているのは、実際に働かれている方なのですか?
小山:はい、本物のクルーです。
南部:ヤバタンさんの過去の動画でも、他のお客さんや店員さんとのやりとりがすごくおもしろいので、今回も店員さんを何名かアサインできないかとお願いしました。また、実際の店舗での撮影ということもあり、機密情報の映り込みがないかなどはかなり気をつけました。
MZ:動画制作や撮影において、ヤバタンさんがこだわった点はありますか。
ヤバタン:1分という短い時間の中で起承転結をつける構成、最後のオチに商品のポイントであるのびるチーズのインパクトを持ってくること、クルーとのやりとりでナチュラルな雰囲気を出すことなどを重視しました。動画を見た後に、ピザを食べたい気持ちになったでしょ?
南部:「ニューヨーカー1キロウルトラチーズ」という商品名を聞いて、「長〜い!」というリアクションがおもしろかったです。
ヤバタン:ただの商品説明も、リアクションによっておもしろくなります。テンポや声のトーンも重要ですね。ヤバタンはわかりやい簡単な日本語を話している感じもウケているのだと思います。あと、今回の動画では、ピザを食べた後、「やばくない?」と一瞬素に戻るシーンがあって、そこについてコメントしている方も多かったですね。そういう“普通に出てきた言葉”も必要ですね。
KPI設定とブランドリフト調査
MZ:今回の施策のKPIは、どのように設定されましたか。
小山:KPIは完全視聴率とエンゲージメント率です。「ニューヨーカー1キロウルトラチーズ」を最初に販売した際のプロモーション時には、TwitterをはじめとしたSNSでも大きな反響を呼ぶことができ、メディアなどでも非常に大きく取り上げていただきました。ただ、その時は「1キロのチーズが乗ったピザ」というところが印象深く伝わりましたが、我々としては、「100%モッツァレラチーズを使っている」という点もあわせて伝えたいところだったので、そこをもっと上手く訴求したいと考えました。そのためには、動画を最後まで見ていただいて、商品についてより深く知っていただく必要がありました。また、日頃TikTokのコンテンツを見ている時と変わらない感覚で、いいねやコメントをいただけるのが理想的な形であると考えました。
MZ:ブランドリフト調査も行ったそうですが、その方法について教えてください。
南部:キャンペーン開始前に、広告を当てる「接触組」と広告を当てない「非接触組」という2つのユーザーグループを同じ条件で作成しました。広告キャンペーンが終わった後に、それぞれのグループに同じ質問を投げかけて、そのリフトの差を見ることによって、今回配信したキャンペーンがどのくらい効果があったのかを確認しました。