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デジタルがもたらしてきた功罪から考える、今後のマーケティングに必要なこと

2020/01/07 08:00

 本連載では、デジタルシフトに向き合うマーケターに対し、オプトのエグゼクティブスペシャリスト ストラテジスト兼マーケティングストラテジー部 鈴木智之氏がマーケティングに対する認識の変化について解説します。第1回となる今回は、デジタルが可能にしてきたものが何かを考えます。

目次

デジタルがもたらしたものを考えてみる

 皆さんはじめまして、オプトの鈴木智之と申します。皆さんはオプトと聞くと「デジタルエージェンシー」「ダイレクト広告の会社」など様々なイメージをお持ちだと思いますが、私はオプトの中でも少し異質な仕事をしています。具体的には、マーケティングストラテジー部という組織を立ち上げ、クライアントのマーケティング戦略立案や活動の支援、事業戦略の立案などに携わっています。

 実務に携わっていると、いろんなことを思ったり、考えたりします。本連載では、その中でたどり着いたマーケティングにおけるデジタル活用の新たな視点、そしてブランドを理解するために必要なことを解説していきます。

 最初となる今回は、デジタルがもたらした功罪について考えます。

 たとえば、デジタルによって生まれたことの一つに「効果の可視化」があります。この可視化とは、広告が、広告を見た人に望ましい行動(サイト誘導やECサイトでの購買など)を促したかどうか、データをもとに証明するというものです。

 投じた広告費に対して、望ましい行動を促した数がわかるので、いわゆるCPA(Cost Per Action)という指標が生まれ、この指標によって、広告活動の良し悪しを評価することが可能になりました。

 それまでの広告、たとえばテレビCMの場合、投下したGRP(Gross Rating Point=延べ視聴率)はわかるものの、その効果はアンケート調査などを通じて認知率や購入意向などがどう変化したのかを推測するに留まっていました。しかし、デジタルによって具体的に引き起こされた行動まで測ることができるようになったのです。

 「効果の可視化」はデジタルが可能にしたことの代表的な事例ですね。

CPAの最適化は何を生んでいるのか

 広告とは、マーケティングミックスにおけるプロモーションを担う一つの手段です。ですから、デジタルはマーケティングにも様々な影響を及ぼしています。コトラーによるとマーケティングとは、価値を創造する交換過程をつくる活動(※)、と定義されています。いい言葉ですね。

※Kotler, P, and K. L. Keller (2008)『Marketing Management (13th edition)』, Prentice Hall.

 ここで先ほどご紹介したCPAという指標を、マーケティングは価値を創造する交換過程という定義を踏まえて評価してみましょう。

・企業が交換の対象としたもの:広告の訴求内容

・生活者が交換の対象としたもの:その人自身の行動(商品やサービスの購入)

 この活動をCPAという指標によって最適化した場合、もたらされる結果は行動の最大化です。仮に目標とする行動をECでの購買と設定すれば、購買行動の最大化となりますね。これを先ほどのマーケティングの定義に当てはめて評価してみると、喚起された行動が「価値を創造しているか」が重要となります。

 「行動が価値を創造しているか? と言われてもピンと来ない」という方もいると思います。次のページでは、僕がラーメン屋に行った経験から行動が価値をもたらしている状態について考えます。

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