マーケターとして勝ち筋を立てる方法とは?
音部氏は、次に「マーケターとしての勝ち筋は何か」という質問をした。
これに対し、瀬戸氏は「マーケター自身が担当するブランド・事業がどうあるべきかを描けていることが重要」とした。マーケターは消費者とブランドについて一番理解している存在であるべきで、その上で、パンパースがプレミアム市場の拡大をビジョンに掲げて邁進したように、今後の未来像を見据えたマーケティングプランの設計ができなければならないのだ。
また、瀬戸氏はP&Gが大事にしている言葉「Think what needs to be true」について紹介した。
「できない理由ではなく、どのリソースがあればできるのかを考え、そのリソースを獲得するための提案を、データを持って行う必要があります。それを表す言葉が、Think what needs to be trueです」(瀬戸氏)
音部氏はこの「Think what needs to be true」について、自身の解釈も含めてその重要性を解説した。
「たとえば、10億円の売上を上げたいときに、100万人が1,000円買うのか、10万人が1万円買うのかを解釈する。それを達成するためにどの資源が足りないかをマネジメント層に提案しに行け、あるいはその責任があるというのが、Think what needs to be trueの意味するところです」(音部氏)

消費者に必要とされる、データテクノロジーの活用を
最後に、P&Gの今後のデータやテクノロジー活用における展望について両氏から語られた。
瀬戸氏は、P&Gがアメリカで提供しているLumiと呼ばれる紙オムツとセンサー、アプリ、カメラが連携するシステムを紹介。これも「Consumer is Boss」を念頭に置き、消費者が必要としているデータテクノロジーを積極的に取り入れたサービスで、今後もこういった取り組みを積極的に行いたいという。
岡田氏は、カスタマージャーニーの全体像をデータで可視化していきたいとした。そのために、各媒体の効果を検証し、投資効果を最大化していく取り組みを進めているという。
そして、音部氏はまとめとして以下の言葉を残し、セッションを締めくくった。
「デジタルの本質は、消費者の観測可能性を高め、理解を深めることであり、P&Gの取り組みはその好例の1つだと思います。同時に、デジタル化にはデータドリブンでビジネスをしていることが重要です。過去の実績のレビューをもとに意志決定ができる体制を作ることができれば、デジタルトランスフォーメーションも進むのではないでしょうか」(音部氏)