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MarkeZine Day 2025 Retail

JTBが挑むデータドリブン戦略 立ち上げから運用まで

セグメントを「なに」で切るか? 顧客構造を解明する分析とは

データの向こう側には人の心がある

 もう少し“データの向こう側”についてお話ししましょう。

 これは、ある都市の月ごとの気温チャートです。ここから何を読み取るかは、チャートを見る人のとらえ方で違ってきます。

 ある人はこのチャートを見て、「この都市の年間平均気温は、23.8℃だ」と算出しました。

 他のある人は、「この都市は寒くなる時期がある。何を着ていこうかしら?」とその都市に訪れたときのすごし方を想像しました。この2つのとらえ方は、収束と拡散、あるいは解析とストーリーと言い換えることができるかもしれません。

 データの向こう側を探索するとき、後者の視点が役立ちます。データが示す事実において、その先にどのようなシチュエーションや、人の心の動きが想像されるのか? この様なエビデンスと洞察の組み合わせによる仮説設定を”データの向こう側”と呼んでいます。

セグメントを何で切るか

 JTBの1to1コミュニケーション戦略で最も重視しているのは、セグメントを何で切るかということです。データを解釈し、お客様のストーリーを捉え、その特徴別のアクションをするとき、我々は、顧客の購買文脈(コンテクスト)を切り口にします。

 ハワイの旅行を例にコンテクストについて考えてみましょう。下図はオアフ島(ハワイ)の地図です。1週間の大半をワイキキとアラモアナショッピングセンター周辺で過ごしたファミリーAと、ノースショアまで足を伸ばしたファミリーBがいます。このとき、後者のほうが“ハワイ玄人度” が高そうです。

 前者は宿泊先にオーシャンビューを求める傾向が見られますが、玄人度が高く、土地勘のある後者にはそれほど見られません。このような両者に対し、同じトップページを見せることやレコメンデーションをするべきではありません。なぜなら、ハワイに行く目的、ニーズが異なるため、訴求すべきコンテンツが違うからです。

 ハワイの“玄人度”のような、旅行者自身の文脈をセグメントの切り口に応用することで、コミュニケーションのあるべき方針の違い、を生み出すことができるのです。

 そして重要なのは、50代のハワイ初心者もいれば、20代の玄人もいる、ということです。つまり、年齢、性別、購買金額といった単純属性情報による分類は、コミュニケーションの切り口として意味を喪失します。

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顧客分析チームのアウトプット「CARD」

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この記事の著者

福田 晃仁(フクダ アキヒト)

株式会社 学研ホールディングス CMO
株式会社 学研エデュケーショナル 取締役 / 株式会社 学研プラス 取締役 /
株式会社 学研教育みらい 取締役 / 株式会社 地球の歩き方 取締役

総合代理店 / ITベンダー / 事業会社のキャリアを持ち、一貫してマーケティングとTechの両面によ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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2020/01/21 09:00 https://markezine.jp/article/detail/32692

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