開始から数ヵ月で得られた成果とは?
池田:2019年11月から導入していますが、移行率は非常に高くなっています。有料チケットの電子チケット移行率が47%、その中の38%以上が45歳以上の方となっています。圧倒的な特典を付け、ママさんバレーのコミュニティに出向き「高速道路のETC割引と一緒ですよ」と言いながら使い方をレクチャーしたのが実を結んだのだと思います。
伊藤:チケット発券という誰もが通るイベントを起点に、同行者を含めたつながりを作り、来場者の一貫したデータを蓄積できることが電子チケットの最大の特徴だと思っています。先ほどのサブチケット機能も、これまでだと特別券を紙で刷って配るので誰が使っているのかもわかりませんでしたが、特典やクーポンが誰に使われているのかも理解することができます。

MZ:それらのデータをもとにCRMも行えるのではないでしょうか。
池田:Quick TicketはCRMシステムとの連携を予定しており、お客さんが誰のファンかもわかるようになります。たとえば、着券した後や会場にチェックインしたタイミングで好きな選手からメッセージが届くようにすることもできるのではないかと思っています。
伊藤:CRMシステムとつなぐことにより電子チケットでできることは増えていきます。今後この流れはスタンダードになると思っています。
スポーツがもっと儲かる世界に
MZ:最後に、これからのスポーツマーケティングの展望と、今後両社が取り組みたいことを教えてください。
池田:ライブスポーツはもっと価値があるコンテンツだと思っています。そういう意味ではより価値のあるチケットにできると考えています。熱量の高い来場者を集中させ、ライブでしか味わえない一体感に包まれた会場作りがより大きな価値を生むはずです。
もちろん、来場できない人向けには5GやVRなどの発達により会場外での観戦体験も向上し広告がさらに効いてくるでしょう。特に人口減少が課題の日本においては来場者の数で争う時代は終わり、満員のアリーナと視聴者数が企業にとっても価値のある数値を作っていくはずです。
そういった施策を展開する上で顧客データは必要なので、電子チケット化をplaygroundさんとともに引き続き加速させていきたいです。
伊藤:私もスポーツ観戦のチケットの価値はもっと高くなるべきだと思っています。選手たちや運営による必死の努力のうえに成り立っているコンテンツが1,000円、あるいは無料配布の価値しかないわけがない。
チーム運営主は、運営コストを切り詰めてチケット代を安くすることではなくチケット代を上げたうえで、その価格でも絶対に行きたいと思わせるコンテンツを作ることに注力すべきです。そうすることで、来場者はより楽しい体験ができ、チームが潤い、選手やスタッフがさらに夢を持って働くことができる。こういった好循環が生まれると思っています。
基本的に欧米万歳論は嫌いなんですが、残念ながら欧米と日本では職業としてのスポーツチームの意味合いが全く違う。欧米では報酬面でも夢があるんですよね。我々playgroundは、ヴォレアス北海道さんのような新たな取り組みに積極的なチームと協業を進めることで、スポーツビジネスのさらなる収益化を実現し、子どもたちが大人になっても夢を追い続けられる世界を実現したいと思っています。