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定期誌『MarkeZine』特集

Retail AIが販促にもたらす革新 利用者も満足する技術で売上も増加へ

 リテールAI技術を活用して、新しい購買体験の提供に取り組んでいる、福岡県を中心に大型小売店「TRIAL」を展開するトライアルホールディングス(以下、トライアル)。ID-POSデータを取得できるようにしたことで、レコメンド機能による商品のマッチングなどを可能にしている。本記事では、このトライアルの技術を開発しているRetail AIの代表取締役社長を務める永田洋幸氏にリテールテックが未来の販促にどのような変化をもたらすのか、話を聞いた。

※本記事は、2020年2月25日刊行の定期誌『MarkeZine』50号に掲載したものです。

リテールテックを実装した店舗を展開するトライアル

株式会社Retail AI 代表取締役社長/CEO 永田洋幸(ながた・ひろゆき)氏
1982年福岡生まれ。米コロラド州立大学を経て、2009年中国・北京にてリテール企業向けコンサルティング会社、2011年米シリコンバレーにてビッグデータ分析会社を起業。2015年トライアルグループのCVCに従事し、シード投資や経営支援を実施。2018年より現職。国立大学法人九州大学工学部非常勤講師。

――Retail AI社はトライアルグループに属していますが、現在グループとして行っているデジタル販促として、どんなものがありますか。

 現在注力しているのは2つあって、1つは「スマートショッピングカート」による販促です。これはショッピングカートにタブレットを搭載してセルフレジ機能を持たせたもので、利用者は専用のプリペイドカードを使えばキャッシュレスでスマートに買い物をすることができます。また、お店も購買履歴からAI分析などを行うことで、パーソナライズなマーケティングが可能になります。

スマートショッピングカート
スマートショッピングカート

 使用する際は、まずプリペイドカードをスキャン、PINコードを入力してチェックインしてもらった後、商品をカートに入れるときにバーコードをスキャンして商品登録をしていきます。スキャンされた商品情報に基づきレコメンドが表示されたり、クーポンが発行されたりします。

 買い物を終えるときには画面上の決済ボタンを押し、ショッピングカートのレーンで店舗スタッフによってスキャン漏れがないかなどをチェックして決済が完了します。

カートのタブレットに表示される画面(※参考画面で、実際のものとは異なる場合があります)
カートのタブレットに表示される画面(※参考画面。実際のものとは異なる場合があります)

 今では来店客の約40%がカートを利用してくれており、慣れていくほどスマートショッピングカートの魅力にハマっていきます。それもそのはずで、商品をスキャンしてもらう必要はありますが、買い物決済が30秒で終わるようになるのですから、お客様にとっての購買体験は確実に変わります。

 一度でもスーパーのレジの行列に並んだ経験がある方なら、トライアルのスマートショッピングカートがいかに楽か、時間を有効に使えるかを体感してもらえるはずです。

――スーパーの行列を経験したことのない人なんて、ほとんどいませんよ(笑)。それだけ利用者にとってもメリットのあるカートになっているんですね。もう1つはいかがですか。

 もう1つは、デジタルサイネージを活用した買い物中のお客様への告知です。実証実験の段階ではありますが、旗艦店の新宮店に200台、田川店には80台と、店舗の大きさに応じた台数を設置しています。

トライアルの店頭にあるデジタルサイネージ
トライアルの店頭にあるデジタルサイネージ

 サイネージを置くことによって、従来の紙のPOPでは伝えきれなかった商品情報や提案ができるのはもちろん、お客様へのアプローチの仕方も変わりました。売り場単位での商品訴求はもちろん、通るお客様によってその場で広告を切り替えたり、一斉に同じ動画コンテンツを流す方法で特定商品をアピールしたりしています。

 サイネージと連動することで対象商品の売上が200%も伸びている事例もあります。

 最近ではこうした動きによるリテールメディア化が注目されています。リアル店舗を持っている小売の強みを生かすためにも、メディア化に必要なものをどう提供していくかを考える必要があります。

――御社では様々なリテールテックの開発を進めていますが、店頭販促を進化させるために、開発している技術・サービスはありますか。

 ハードウェアだとスマートショッピングカートとデジタルサイネージが中心になります。そして、POSデータのID-POS化に成功した点が大きな価値だと考えています。

 というのも、人が店舗で買い物をするとき、来店前に購入する商品を決めている「計画購買」が2割、来店してから買うつもりのなかった商品を購入する「非計画購買」が8割と言われますが、私たちが促したいのは「非計画購買」です。

 たとえばコンビニに行く動機はあっても、コンビニで明確に何を買うかという目的を持っている人は多くないでしょうし、欲しいものが決まっている場合でも併売で他に何か買ったりしますよね。ですがその分析データはまだ取れていません。

 これに対して私たちはID-POSデータが取れることによって、購買履歴などを読み取り、その人が好みそうな商品をレコメンドするといった販促ができるようになります。

 今まで「1対N」の不特定多数へのアプローチだったのが、ECのような「これが欲しいのでは」というデータをもとにレコメンドできるようになったということです。

 そうなると、新商品ですら買ってくれそうなお客様を選んでアプローチできるようになると思っています。

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ID-POSデータによって売り場で商品レコメンドが可能に

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この記事の著者

畑中 杏樹(ハタナカ アズキ)

フリーランスライター。広告・マーケティング系出版社の雑誌編集を経てフリーランスに。デジタルマーケティング、広告宣伝、SP分野を中心にWebや雑誌で執筆中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2021/02/26 17:42 https://markezine.jp/article/detail/32918

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