小巻氏の考えるPurposeの定義
続いて鹿毛氏は、小巻氏にとってそもそもPurposeの定義が何であるかを尋ねた。小巻氏としては「存在意義、『何のためにあるのか』ということ」だという。
サンリオピューロランドにも、商販、営業もあれば、いわゆる総務、人事、経理といった様々なポジションが存在することを前提に置いた上で「それぞれの人が自分たちでやっている今日の仕事が何につながるのかが見えているのと見えていないのとでは、全然モチベーションが違う」と語った。
鹿毛氏は、「本当は新入社員の時から『何のために働いているか』と問う気持ちが皆の中にあるはず。いつの間にか、大人の事情、上司といった何らかの都合によって、『蓋を閉められている組織』になってしまっているのでは」と多くの企業に共通する課題を改めて示した。

Purposeへの理解がスタッフのモチベーションを向上する
鹿毛氏は、サンリオピューロランドにおいて組織改革が早く進んだ理由に、「顧客との距離の近さ」「反応が見られること」を挙げた上で、自身が食品会社に務めていた際の経験を元に組織存続の基礎について語った。
「食品会社は顧客との距離が遠い。不祥事があった時に、おわびに伺うといった対応をしていく中で、初めて近くなった。その時チームのある女性社員が『当たり前ですけど、企業が存続するって、喜ばれて初めて存続できるんですよね』と言い、それが真実だと思った」(鹿毛氏)
鹿毛氏はこの時から、「ターゲット」という言葉を「喜んでもらうお客様」に言い換えて考えるという。そうすることで「すっとアイデアが出てくる」と語った。
小巻氏は、顧客の喜ぶことに加え「スタッフがどれだけ喜びを感じて働けるか」がとても大切だと述べた。同じ仕事に取り組む場合でもPurposeが見えているのといないのとではモチベーションに違いがあることから、スタッフのPurposeに対する理解は結果的に顧客が喜ぶことの実現につながると述べた。