自社の存在意義を考え始めたきっかけ
セッション中盤では、鹿毛氏が「何のために仕事をするか」「何のために存在するのか」という個人の生き方と、「企業が何のために存在するのか」という企業のあり方との重なりを考えることが重要になると述べた。

この発言を受け小巻氏は、自身が企業の存在意義を考えるようになったきっかけとともに、その重要性を語った。
小巻氏は社内に向けて設定したマーケティングのセミナーにおいて、自社の存在意義を再考するきっかけがあったと述べた。同施設への赴任から間もなかった小巻氏はセミナーの講師から「今、サンリオピューロランドがなくなったら、何人の人が泣いてくれますか」と質問され、その状況を想像したものの、答えられなかったという。
その質問が小巻氏自身の中で「何を提供できている会社なのか」という重要な問いに深く結びつき、企業の存在意義を継続して考えるようになったと語った。また、施設で来客者から直接お礼を言われた際にも、「何に対して『ありがとう』と言ってもらえているのだろう」と改めて考えるきっかけになったと述べ、顧客視点で企業の提供する価値が何であるのかを想像し、検討し続けてきたことを明かした。
Purposeは掘り下げられるもの
さらに鹿毛氏は、サンリオピューロランドというブランドのPurposeが何であるか尋ねた。
小巻氏は、キャラクターのグッズやライブといったコンテンツを販売することは手段であってPurposeではないとした上で、サンリオエンターテイメントが展開するテーマパーク事業においてのPurposeの一つを「居場所を提供すること」だと述べた。
「不確実で不安定で複雑で曖昧なこの世の中において、自分の価値観をどこに置いていいのか迷子になっている方が、子どももお母さんも、若い女性も男性も多いと思う。こんな今の世の中における私たちのPurposeは、何か懐かしさとか、ほっとできるとか、かわいいものに触れて、ちょっと心が癒やされる居場所を提供するというところにある」(小巻氏)
また、小巻氏はPurposeを「根っこのようにどんどんとほっていけるもの」だと表現。同氏の考えるPurposeは、最終的に「世界中がみんな仲良くなり、多様性を受け入れて、仲良く生きていく、世界平和になっていく」というところまで続いていく。小巻氏は、「その思いが何につながるか」という視点を持つことで、Purposeをより掘り下げられることを示した。