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米国最新事情レポート『BICP MAD MAN Report』

インターネット広告費の「伸び率」が示す未来

インターネット広告の一時的な減速 その震源地と余波

 日本のインターネット広告費への影響は欧米から6ヵ月〜1年遅れで表れて2021年頃に見える時差があると言われる。ならばなおさらこの日本での「津波の時差」が顕在化してからの対応では遅い、が筆者の解釈だ。

 今年はまず、GDPRのガイドラインを起点とした「欧州市場」でのデジタル広告予算の減速(数値)の発表が表面化する。昨年より既に米国企業を中心に欧州市場でのデジタル出稿は「触らぬ神に祟りなし」と差し控えている現象は明らかだ。もちろんギリギリまでサードパーティCookieを使い倒す予算も残るし、コンテンツ連動の広告枠が新ターゲティング代替として売買する予算にシフトする可能性もある。今年はこれらが混在し、何が正しく効率的なのかが少しずつ試される時期だ。これらの躊躇を含む減速結果が、データとなって表面に表れるのが2020年Q1〜Q2頃と予測する。

 さらに先日発表された、GoogleによるサードパーティCookie排除のショック結果が今年から表面化する。実はサードパーティCookie排除の新型Chromeの流通は、2年後(2022年)を待たずに、「今年」2020年2月から流通が始まる。2022年の完了時期ばかりが日本では強調されているように見受ける。Google自身も既に昨年2019年8月時点で、自社サードパーティCookie排除により、上位パブリッシャー500社におけるターゲティング広告の収入は中間値で64%減少すると予測し、警告予報している。

 Googleはその自社予想を公開しつつも市場環境を混乱させないために、今年Googleの中だけで閉じた環境による情報管理を実現させる「サンドボックス」技術を同時発表した。Google内部でデータを囲い込めばこれまでのようなターゲティングを再現可能にすると説明し、市場を落ち着かせるのが方針だ。

 さらに同時並行で、CCPAを基準とするカリフォルニア州+米国の法的影響が顕在化する。上記Googleの言い分を上回る見解を持つ可能性は十分にある。この大騒動のCCPAやGDPR、Googleの対応=いわば大津波に対して、法的動きのない日本市場の状況だ。この日本市場はグローバル広告予算の行き先として他国と比較して見れば、表面的には浮いた良い環境になり(オリンピック景気を含め)、マクロ状況を見えにくくする。既に図表1に見えている日本国単体での「インターネット広告減額」の傾向は、実は大きなマクロでの世界経済を映し出していると考えるのはいかがだろう。

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この記事の著者

榮枝 洋文(サカエダ ヒロフミ)

株式会社ベストインクラスプロデューサーズ(BICP)/ニューヨークオフィス代表
英WPPグループ傘下にて日本の広告会社の中国・香港、そして米国法人CFO兼副社長の後、株式会社デジタルインテリジェンス取締役を経て現職。海外経営マネジメントをベースにしたコンサルテーションを行う。日本広告業協会(JAAA)会報誌コラムニスト。著書に『広告ビジネス次の10年』(翔泳社)。ニューヨーク最新動向を解説する『MAD MAN Report』を発刊。米国コロンビア大学経営大学院(MBA)修了。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2020/11/18 17:27 https://markezine.jp/article/detail/33055

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