※本記事は、2020年4月25日刊行の定期誌『MarkeZine』52号に掲載したものです。
「食×デジタル」に見出した可能性
グリーンハウスグループ 株式会社グリーン・フードマネジメントシステムズ
執行役員 Chief Digital Officer 兼 社長室 社長室長代理/
株式会社ジー・エイチ・エフ・マネジメント
執行役員 CDO 兼 広報・IR室長 伊藤信博(いとう・のぶひろ)氏
明治学院大学国際学部卒業後、1993年に日本NCR入社。航空会社や通信会社等の顧客明細分析用データウェアハウスを販売する営業を担当。1999年、日本マイクロソフト入社。中小中堅規模事業所やコンサルティング事業向けマーケティングを担当後、学生やスタートアップ向け技術啓発を担当するエバンジェリストを経験。ソフトウェア開発者向けソフトウェアやクラウドサービスの営業、技術支援、マーケティングの組織を統括後、2013年にマイクロソフトシンガポールへ転籍。シンガポールおよび東南アジアのDX推進支援を担当するディレクターとして多国籍メンバーをリード。2018年4月より現職。
――伊藤さんは、日本NCR、日本マイクロソフトを経て2018年4月にグリーンハウスグループに参画されています。外資のIT企業から日本の老舗企業へ、というのは大きな転換だったのではと思いますが、これまでのキャリアについてうかがえますか?
マイクロソフトには、1999年から計18年勤めました。2013年からの約4年間はマイクロソフトシンガポールに勤めていて、このときの経験がのちに当グループに参画する理由にもつながっています。
2013年までのキャリアでは、営業、マーケティング、それから技術の担当者やグループ責任者を務めてきました。40歳を超えての海外への挑戦は、周囲からも心配されましたが、自分の力をどうしても試したくてポジションを探したんです。ちょうどシンガポールで営業とマーケティングと技術の3領域を束ねるリーダー職の募集があり、選考を経て就任することになりました。
そこで得た学びが、2つありました。1つは、食領域とデジタルやITの掛け合わせは、意外にも広がりが大きいこと。シンガポールの人は食への関心が高く、中華をベースに洋風もあり、屋台もにぎわっています。私の業務でも、たとえば航空会社のデジタル化支援など年間130ほどのプロジェクトに携わる中で、食関連のノウハウやアイデアが蓄積されていきました。
もう1つは、デジタルにこそ多様性を受け止める仕組みが必要だ、という点です。私がリードした約20人のチームメンバーは、普通に7ヵ国から集まっていたりするので、それぞれの背景や常識を加味した連携が必要でした。おのずと、皆が共通で使うデジタルサービスやツールは、多様性を意識した柔軟なものであるべきだと考えるようになりました。
その上で日本を考えると、まず高齢化が進む中、年齢を重ねた方でも簡単に使えるデジタル基盤が必要になってきます。グローバル化も一層加速する中、外国人労働者の方も増えているので、その点でも日本人でITに長けていないと使えないものではダメなのだ、と学んで帰国しました。その直後、食と健康の総合ホスピタリティ企業として国内外で事業を展開するグリーンハウスグループの社長(田沼千秋代表取締役社長)と出会ったのです。CDOとして、多様性を意識したデジタル化のお手伝いができればと考えて、参画しました。