メールは受け手に寄り添いながら企業姿勢を伝えられる
安成:先ほど菅野さんから、エンゲージメント重視に変わってきているというお話がありましたが、エンバーポイント社が実施したメールマーケティングに関する調査では、エンゲージメント強化を目的としたメールの重要性を感じているものの、実施できていないという回答が半数に上りました。今、メール以外にもいろいろなチャネルがありますが、それらを含めてエンゲージメント醸成の観点でどのチャネルがどう寄与するとお考えでしょうか?
菅野:いちばんエンゲージメントに寄与するのは、やはり人による接客だと思います。なるべくサービスに触れた初期段階で接客を受けて、人による温かみを感じてもらえると、感動や信頼が生まれやすい。なので、人による対面や電話のチャネルを重要視しています。また、双方向性も関係を深めるひとつのアプローチなので、人とbotを絡めたLINEによるサービスソリューションの開発に注力しています。
一方で、メールも最近見直している部分があります。チャットだと短く端的になるので、ライトな感じになってしまいますよね。メールは手書きの手紙のように、受け手に寄り添いながら真摯な姿勢を丁寧に示していけると思います。また、住み替えの段取りはとても複雑なので、まとめて情報を届けるのにも適しています。
安成:他のチャネルの登場によって、メールの位置付けが変わっている?
菅野:そうですね、使い分けを意識するようになってきています。
レコメンド商品だけを毎晩配信、顧客のルーティンに
北村:当社が実施した調査の別の項目では、既存顧客内の非アクティブな顧客の割合がとても大きいので、そこに対するケアがメールに求められているという傾向が出ていたりします。先ほどの菅野さんのお話だと、販促的なアプローチより率直に役立つ情報を提供するほうがCTRが高かったのですよね。その場合、指標としてコンバージョンはあまり重視されていないのですか?
菅野:そうですね、読んでもらえたかの指標としてCTRは見ていますが、後はコンバージョンというより「楽しい、役立つ、お得」といった自分たちらしい多様な軸をコンテンツに反映できているかを重視しています。結果、反応がいいのは総じて「役立つ」軸が高く、「お得」軸だけだと反応が悪いのが現状です。
安成:コメ兵さんでは、接点を持っている顧客にはどんなアプローチをしているんですか?
藤原:当社は「世の中の良質を永遠につなげていく」ことをミッションとしているので、それに照らし合わせると、お客様が欲しいものをいかに集められるか、お買い得に提供できるかを常に追求したいと思うんです。そのお得情報の工夫は考えたりもするのですが、やはりストレートに伝えるのがシンプルで継続性があるので、実はメールもLINEもすべてレコメンド商品の自動化配信なんです。
情緒に訴えたりはせず、すべてそのお客様の行動と購買履歴から機械的にレコメンドを抽出し、それを必ず夜9時に毎日届ける。そうすることでお客様の習慣になり、能動的に見に来てもらえようになります。毎日サイトに来てもらえるほどLTVが上がるとわかっているので、ルーティン化を目指しているんです。
前編のまとめ
後編では、1to1マーケティングの実践やAIの活用、また現在のテクノロジー基盤の開発体制や運用について、パートナーの選び方などをうかがいます。お見逃しなく!
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