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隠し事ができない時代のマーケ戦略 フェーズは効率重視から「信頼の獲得」へ

戦略は変わらない、変えたのは予算配分

安成:藤原さんは20年にわたってデジタル領域に携わられ、業界の発展をずっと見てこられましたよね。

藤原:私の今のポジションだと、いちばん長期的な視点で、5年間くらいを捉えています。「5年後にどんな世界になっているか?」から逆算しないと、今準備できることが少なくなってしまいますよね。たとえば人口減少のような確実にわかっている事象や、5Gの普及など技術の発展もそうです。とはいえ直近の売上も大事なので、マーケターは中長期と短期の2つの時間軸を捉えて、その中で優先順位をどうつけるかがポイントになってきます。

コメ兵 執行役員 マーケティング統括部部長 藤原義昭氏

 1999年にコメ兵に入社。ジュエリー部門の鑑定査定業務、商品仕入れを担当した後、2000年にECサイト立ち上げに携わる。WEB事業部長、IT事業部長を経て、2016年に全社のマーケティング(リアル・Web・システム)を統括する執行役員に就任。オムニチャネル戦略推進と、全社のスピーディーな事業推進に注力している。

安成:最近のマーケティングの変化や、御社の戦略の変化はありますか?

藤原:当社の戦略は、それほど変わってはいません。日本は人口減少に加えて、量から質を重視する世界に変化してきているので、1to1マーケティングやD2Cブランドの興隆につながっているのだろうと思いますが、我々が扱う商材は高額品が多く、デジタルだけでの売り買いは成立しにくいです。

 ただ、デジタル起点の取引は近年徐々に増え、今年2020年が当社にとってデジタル起点に軸足が移行する元年になると考えています。具体的には、予算のアロケーションを細かく精査しています。店舗での顧客体験の向上ももちろん大事ですが、その前に、情報過多なデジタル社会に生きるユーザーの純粋想起を高めないと勝てない。「時計を買おう」と思い立ったときに、当社が購入先の候補として5本の指に入らないといけないと考えながら予算の全体最適化を図っています。

自社のアセットから違う価値を生み出すには?

安成:ちなみに、今後を見据えて優先的に投資しているのはどのような部分でしょうか?

 MarkeZine編集長 安成蓉子
MarkeZine編集長 安成蓉子

藤原:リアルとデジタルなら、デジタルです。それは、家賃高騰で店舗の床面積が減り、置ける商品数が減っている事情もあります。デジタル起点で制限なく在庫を見ていただいて、リアルへと顧客を誘導しています。

 一方、実は買取専門の小さな店舗を、都心沿線の少し郊外の駅にどんどん増やしています。通常買取だけ行っている店舗ですが、遠方の店舗やオンラインストアで買いたいものがあれば、取り寄せし購入することも可能です。デジタルだとアプリを立ち上げるのは1日1回かもしれませんが、通勤などで駅に行く途中に店舗があれば行き帰りで1日2回接触する。自社のアセットを、違う価値を生むように転換するにはどうするか、という視点で再構築している最中です。

北村:同じ方がコメ兵で売り買いされるのがきっと理想なのだと思いますが、そうしたリピートを促されているのでしょうか。

藤原:当社のコンバージョンポイントを考えると、お店で売る/お店で買う/ECで買う/宅配(集荷)で売る、という4つをクロスするほどLTVが高くなるとわかっています。ただ、実はこの10年ほど、買取と販売の顧客が重なる率は10~15%前後から動かないんですね。おっしゃる通り、買取・販売を回遊していただけるといいのですが、こちらからの働きかけがそれほど効かない。どちらかというと、よりよい体験をお客様に提供して、結果的にクロスしたらいいね、という感じです。

北村:ちなみに休眠顧客はどう定義し、どのようなアプローチをされているのですか?

藤原:販売も買取も1年アクションがない人、と定義しています。休眠顧客への施策としてはクーポン付与や、店舗の近隣の方に新たな企画や出店情報、イベントをお知らせすると戻ってきてくれることもあります。ただ買取の休眠顧客は、コメ兵に売りたい商品がいつどのように発生するかのタイミングはお客様それぞれで、その機会が生涯に一度という人もいるので難しいところです。

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この記事の著者

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2020/06/30 13:31 https://markezine.jp/article/detail/33301

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