双方の性質を理解し、目的に応じた最適な広告施策を
顧客の意思決定が受動的でなく顧客主導である今、当然の結果であると感じています。我々が開発・提供しているマーケティングオートメーションツール「SATORI」も、激変する環境の中で正確かつ迅速に、そして自動化することで効率的に、企業がその顧客とコミュニケーションするためのツールとして、十分な期待に応えられるサービスを目指していかなければと実感しているところです。
個人的に広告活動は、成長を目指す企業とその顧客とのコミュニケーションにおいて不可欠と考えています。当社でもインターネット領域の広告やマーケティング手法に数多く取り組んでいますが、これには当社サービスとの親和性に加え、そこで得られた成果を自社のお客様にもシェアしていきたいという目的があります。一方で広告主としては、テレビのメディアパワーや、短期間に多くの人にリーチできる点は大きな魅力と考えます。
SATORIでは今年の2月から、女優の上戸彩さんにご出演いただき、初めてのテレビCMを制作しました。現場で働くマーケティング担当の方、営業職の方、管理職の方へ、マーケティングオートメーションやデジタルツールによる営業効率化の魅力を訴求する内容のもので、たくさんの反響をいただきました。以前から言われてきたことでもありますが、オフラインやオンラインと区別せず、その双方の性質を理解して目的に応じた最適な広告施策を行っていくことが大切であると改めて実感した経験でした。

SATORI株式会社 マーケティング営業部
事業部長 高橋美絵(たかはしみえ)氏
大学卒業後、営業職を得て、外資系メール配信システムベンダー、外資系CDNサービスベンダーにてマーケティング全般のキャリアを構築。2016年9月にSATORIに参画後は、マーケティングから営業、顧客支援部門までを部長として統轄している。
テレビCMの成果を可視化できるテクノロジーが求められる
最も注目すべきは、総広告費が8年連続のプラス成長を遂げたこと。インターネット広告は脅威ではなく、広告市場全体の新燃料として捉えています。広告の未来は明るいし、明るい未来を作るのがクリエイティブアイデアです。その上で、テレビCMでも出稿した結果を可視化できるテクノロジーが求められています。テレビの前にいる人が誰なのかをセンサーで感知し、その人の検索・行動・購買すべてのデータがつながることで、本当にテレビCMが「効く」のかを証明できない限り、インターネット広告との差が開いていく流れは避けられないはずです。
インターネット広告費の成長にともない、実は4年ぶりにプロモーションメディア広告費がプラス成長した点も注目に値します。GOでも、他社の広告ポスターをリサイクルしたECOALF「資源を無駄にしない広告」、霞ヶ関のケンドリック・ラマー「黒塗り広告」、メルカリ「折込チラシ」など、この1~2年で多くのプロモーションメディア広告を活用しました。特定の場所に掲出することで強くメッセージングできたり、掲出場所ごとにコピーを変えることで話題のきっかけになったり、クリエイティブ×エリアの手法も浸透してきたと思います。
話題になったプロモーションメディアには、広告を見た人がSNSに投稿し拡散→その話題がWebメディアで記事になる→SNSとWebメディアの話題に反応したテレビが番組で取り上げるという一つのパターンがあります。実際に見た人は少なくても、デジタルで発火し、多くの人に知ってもらえる。これが、プロモーションメディアの価値を高めました。

The Breakthrough Company GO
ビジネスプロデューサー 田中陽樹(たなかはるき)氏
GOのビジネスプロデューサーチームのリーダー。docomo25周年×安室奈美恵、パーソナルオーダースーツブランド「STORY & THE STUDY」、ECOALF「資源を無駄にしない広告」、ケンドリック・ラマー「黒塗り広告」などを手掛ける。事業・企画を立ち上げに導き、その後の売上・利益獲得戦略までマネジメントするプロデューサー。
人の心を動かすのは「効率」ではなく「コンテンツ」
私は根っからのテレビ世代です。テレビ番組とともに青春を過ごし、テレビCMにパワーをもらい、あこがれの対象はすべてテレビの向こう側にいました。今でも朝起きたら、というよりも起きる前から勝手にテレビはつき、家に帰ってからもテレビをつけるのが自然な「習慣」です。昨今その「習慣」が変わる中で、インターネット広告費がテレビメディア広告費を上回ったことは、個人的な一抹の寂しさはあるものの、どちらかと言うと当然の結果です。
宣伝活動の目的は売上を上げることであり、そのためには「人の気持ち、心を動かすこと」が最も重要です。その中で人の「習慣」が変われば手法も変わるのは当たり前の話です。どうすれば「人の気持ち、心を動かすこと」ができるのか? それはテレビとかインターネットとかではなく、多様化する生活スタイルや変わる習慣の中で広く捉えることが大切な時代になりました。
ただ、インターネット広告の場合、参入障壁が低いことやプラットフォームへの偏りを含めどちらかと言うと「効率」を求める傾向にあります。人の心を動かすのは「効率」ではなく、「コンテンツ」です。好きなテレビ番組を見るために急いで帰り、わくわくしながらテレビの前に座る! そんなシーンは減っているかと思いますが、メディアとしては、このような気持ちを持って見てくれる人に対し、どういった「広告=コンテンツ」を配信するべきなのかについて、メディアそれぞれが役割と責任を持って突き詰めていくことが大切だと思います。

C CHANNEL株式会社 ママタス事業本部
副本部長 武藤崇雄(むとうたかお)氏
大学卒業後、出版系メディア、Webメディアを経て2016年C CHANNEL入社。専任役員 広告事業部長としてC CHANNELのメディアセールスを担当し、2020年からママ向け動画メディア「mamatas(ママタス)」を担当。