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「データ保護」と「プライバシー」の観点からデータ戦略基盤を再考する

元広告会社の運用担当者の目線で考える「データプライバシー」と「ビジネス利活用」

日本におけるプライバシー保護×データ活用【事例:接触確認アプリ】

 日本の「新型コロナウイルス感染症対策テックチーム」は、GoogleとAppleが提供するAPIを活用し、新型コロナウイルスの「接触確認アプリ」を開発中です。私たちのプライバシーがどのように守られているのかを確認していきます(※2020年6月2日時点)。

位置情報 vs Bluetooth

 接触確認アプリには大きく2つの違いがあります。1つ目は「ユーザーの接触を判断する上で位置情報を利用するのか、Bluetoothを利用するのか」です。日本ではプライバシー保護を重視し、「Bluetooth」が採用されています。

集約型 vs 分散型

 2つ目は、陽性者と濃厚接触者のデータ管理についての違いです。陽性者が保健所に申請する際、「自身の情報」に加えて「濃厚接触者の情報」をアップロードする場合は、集約型と言われます。一方で、「自身の申請」のみアップロードする場合は分散型と言われます。日本では「分散型」を採用しています。

接触確認アプリのダウンロードから感染報告までの流れ

 自身のスマートフォンに「接触確認アプリ」をダウンロードしておきます。ダウンロードしてアプリを利用することに「同意」すると、スマートフォンからBluetoothが常に発信されている状態になります。

 同じく、「接触確認アプリ」をダウンロードしている人と出会い、約1m以内で15分間以上近くに滞在すると、お互いのスマートフォンが「鍵(KEY)」のやり取りを行います。この鍵は10分毎に変更され、この鍵だけでは個人を特定することができません。また、日本が開発するアプリは、鍵のやり取りをBluetoothで行うので位置情報などのプライバシー情報は含みません。また、14日以上経過した鍵は随時削除されます。

 その後、まこと(オレンジ)が新型コロナウイルスに感染していることが分かり、且つ「接触確認アプリ」をダウンロードしている場合、保健所に陽性者として登録されます。

 保健所で陽性者として登録が完了されると、アプリから通知が届きます。陽性者として申告することを「同意」すると、鍵がクラウドにアップロードされます。「同意」なしに保健所や、Google、Appleが勝手にデータをアップロードすることはありません。

 たかし(ミドリ)は、以前にまことと接触した際、まことのスマートフォンと鍵のやり取りを行っていたので、まことの鍵を持っています。システムはコロナウイルスに感染したまことの鍵と合致する鍵を持っているたかしに対して、適切な行動と帰国者接触者相談センターへの相談方法等をメッセージによりガイダンスします。

 このように、日本では生活者のプライバシーを守りながらも、公共の目的のためにデータを活用するスキームを整えつつあります。次回は、Consent Management Platform(CMP)という「同意管理プラットフォーム」について解説していきます。

【参考資料】
データの法律と契約』福岡真之介 松村英寿 著、商事法務、2019年1月

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この記事の著者

大驛 貴士(オオエキ タカシ)

2012年、株式会社サイバー・コミュニケーションズに入社。Facebook、Twitterをはじめとしたソーシャルメディアの広告運用、APIを活用したツール設計、開発ディレクション、データ収集から分析までを得意とする。2019年6月よりデータの利活用を推進するコンサルティング会社「株式会社DataCurrent」に...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2020/06/16 09:00 https://markezine.jp/article/detail/33572

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