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ファンを軸としたマーケティングの設計図~熱量を生み、育て、広げるには

オンラインだから作れた“大きな山脈” 1,800人が同時視聴したnoteフェスの舞台裏

イベント運営を有料で盛り上げるサポーター制度、狙いは?

高橋:次にnoteフェスサポーターについておうかがいします。こちらは金子さんが起案されたとのことですが、どのような狙いがあったのでしょうか。

金子:noteフェスサポーターは、企画に関する意見交換や運営メンバーとの交流などを通して、一緒にイベントを盛り上げてくださるメンバーを募集するものです。

 最初はこのような仕組みを作ることは考えていなかったのですが、イベントの準備を進めるにつれて「参加者は一方的に聴くだけになってしまうかもしれない」と心配になってきて……。参加者に「私も発信してみよう」と感じてもらうには、当日の工夫だけでは限界があるのではないかと思ったのです。

 「あなたのその一言が大事なんです」「いいね!というリアクションだけでも、すごくありがたいんです」という運営の思いを伝えるには、ある程度時間をかけて、運営のプロセスや悩み、本気度を見ていただきながら、コミュニケーションしていく必要があると考えました。

高橋:より前傾姿勢でイベントに参加していただくために、設けた仕組みだったのですね。

金子:はい。人数は、丁寧にコミュニケーションできる範囲ということで、先着100名に絞りました。そしてセッションの視聴は無料なのですが、サポーター制度に参加する方には、3,000円お支払いいただく形をとりました。

高橋:イベント運営に協力することで、無料もしくは割引を受けられるケースが多いと思いますが、そのようにはしなかったのですね。

金子:おっしゃる通りで、逆のパターンでうまくいくかどうか不安もありました。でも振り返ってみると、3,000円は握手の意味だったなと思っています。申し込む側は、お金を払うことで「しっかり参加しないと」と本気度が高まり、運営側も「いい体験を提供しますよ。損はさせません」と真剣になる。申し込みをいただいた方々と「よろしくね。約束しますから」と、ガッチリ握手したような気持ちでした。

立ち上げ初期は「すぐやる課」に

高橋:サポーターの方々は、イベント運営にどのように関わられていたのでしょうか。

金子:noteの限定サークルに参加していただき、Zoomなども活用しながら、1ヵ月半ほどの期間、意見交換をしていました。当日の会場での視聴も、人数を絞った上で、サポーターに限り可能としました。

 サポーターの方からは想像以上にたくさんアイデアをいただけて、たとえば「本当の音楽フェスっぽく、タイムテーブルを作ってみました」とできあがったものをアップしてくれた方がいるんです。とてもわかりやすかったので、すぐ公式のLPにも反映させていただきました。さらにその後、noteフェスに関する自主企画が多数立ち上がり、急遽、企画を発信しているnoteをまとめたページも用意しました。

高橋:サポーターが「つくると、つながる!」を体現されていると、それを見た人が影響を受けて、創作の輪がじわじわと広がっていきそうですね。金子さんがサポーターの方々とコミュニケーションを行うにあたって、工夫されていたことはありますか?

金子:「これをやりたいな」と言われたことには、すぐに反応するようにしていました。「Zoomで会いたいですね」というコメントを見たら、「セッティングしました! まずは明日の夜来られる人でやりましょう」くらいのスピード感で対応する。“すぐやる課”みたいですね(笑)。

高橋:サポーターの方の声をちゃんと受け止めて、スピーディーに反映していくということを心がけたのですね。

金子:はい。立ち上げ初期は特に「この人たちは私の発言をちゃんと聞いてくれている」と感じていただくことが大切だと思います。

 それから、運営とサポーター、サポーター同士が対等な関係で向き合う場にすることも、大切にしてきました。「この人が偉い」のように上下関係ができた瞬間に、コミュニティは崩壊してしまう。言われたことをすべて鵜呑みにするのではなく、「noteフェスに取り入れるのは少し違うかもしれない」という意見に対しては、お礼を伝えた上で、やらない理由を説明するようにしていました。

高橋:サポーターには、noteを始めたばかりのユーザーも多かったようですね。

金子:はい。先着順で募集したことで「何かやりたい気持ちがあるけれど、どうしたらいいのかわからなかった」という思いをもった方々が集まってくれたようです。

 この点も、先着で良いのかかなり悩みましたが、「おもしろそうだからやってみたい」とすぐに動いてくれるような人たちこそ、アクティブに活動してくれるのではと考えました。こちら側で審査や選抜をするというのもnoteらしくないですし、創作や発信を躊躇している人の背中を押す、というテーマからもずれてしまいます。

高橋:その点も含めて、終始noteさんらしさがにじみ出たイベントでしたよね。まさに「何かやりたい気持ちがあるけれど、どうしたらいいのかわからなかった」という人たちが関われるような仕組みにできたことが、このサポーター制度の素晴らしいポイントだと思いました。

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つながり続けることのハードルが下がった

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この記事の著者

高橋 遼(タカハシ リョウ)

1983年生まれ。2010年株式会社トライバルメディアハウス入社。クリエイティブディレクター。ファンを軸としたマーケティング戦略・実行に従事し、これまでに航空会社、ファッションブランド、スポーツブランド、化粧品ブランド、飲料メーカーなどを担当。著書に『熱狂顧客戦略』(翔泳社)。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

蓼沼 阿由子(編集部)(タデヌマ アユコ)

東北大学卒業後、テレビ局の報道部にてニュース番組の取材・制作に従事。その後MarkeZine編集部にてWeb・定期誌の記事制作、イベント・講座の企画等を担当。Voicy「耳から学ぶマーケティング」プロジェクト担当。修士(学術)。東京大学大学院学際情報学府修士課程在学中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2020/10/14 07:00 https://markezine.jp/article/detail/33766

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