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Twitterプロモーションの最新動向を追う(AD)

総視聴者数は1,000万越え!楽天モバイルが国内歴代1位を記録した、ライブ配信発表会に成功した理由

 2014年から格安スマホとして認知を広げてきた楽天モバイルは、2020年4月より自社回線による携帯キャリアサービスを本格的に開始。その発表時には多くの人の関心を集め、サービス発表に先がけて実施されたTwitterでのライブ配信は、総視聴者数が1,093万人に達し、「楽天モバイル」に関するワードがいくつもトレンド入りを果たすなど、大きな話題となった。今回は、同施策を担当した楽天モバイルの添田貴嗣氏、重野裕祐氏にインタビューし、施策の裏側を聞いた。

ライブ配信前後でもアプローチがしやすいTwitter

MZ:はじめに、現在の担当業務をご紹介してください。

添田:楽天モバイルのブランドマーケティング戦略部の部長をしています。

 ブランドマーケティング戦略部は、顕在顧客層の拡大と利用者数増加をKPIとして各種マーケティング施策を企画実行する部門です。プロダクト&サービス、ブランドマーケティング、マーケティングPRの3つのチームで構成されています。

 今回のTwitterでの施策は、マーケティングPRチームが中心となって実行していったものです。

楽天モバイル株式会社 ブランドマーケティング戦略部
部長 添田 貴嗣氏

重野:私はマーケティングPRチームのマネージャーをしています。私たちの主なミッションは、楽天モバイルのサービスや商品のベネフィットを、メディアやSNSを通じてお客さまに伝え魅力を理解いただき、楽天モバイルの利用者を増やすことです。

楽天モバイル株式会社 ブランドマーケティング戦略部 マーケティングPR課
セクションマネージャー 重野 裕祐氏

MZ:今回、ライブ配信を中心としたキャンペーンを実施するに至った背景について教えてください。

添田:楽天モバイル自体は、2014年に楽天グループにおけるモバイル通信事業として参入し、格安スマホという領域でトップシェアを獲得いたしました。

 そのフェーズを経て、2020年4月から国内4番目の携帯キャリアへとビジネス転換を行いました。

 サービス開始に先立ち、その内容と料金プランを広く全国に、インパクトを持って発信していくために、発表会を行う予定でした。通常であればメディア向けに実施しますが、より消費者に対してダイレクトに我々の発表を伝えたかったため、会場での会見実施に加えライブ配信を考えていました。

MZ:配信プラットフォームが色々ある中で、Twitter中心の設計にしたと聞いています。その理由は何だったのでしょうか。

添田:ライブ配信前後にも広く情報発信しなければと考えたときに、一番フィットしたのがTwitterだったからです。他の動画プラットフォームや自社の動画配信サービスなど、いくつか候補はありましたが、ライブストリーミングだけで広い認知をとっていくのは難しい。Twitterであれば、配信前後でもアプローチがしやすいと考え、今回はTwitterを中心とした設計にしました。

3つのフェーズに分けてTwitter施策を展開

MZ:実際に行われたキャンペーン内容について教えてください。

添田:進級や就学などのタイミングである3~4月にかけて携帯契約の需要が高まるので、そこにあわせて3月3日に発表会を設定しました。

 しかし、計画を進める段階で、新型コロナウイルスの影響を受け始めたため、メディアの方を含めてすべての方を対象に、ライブ配信で行う形に切り替えました。

 それによって、よりオンライン上での情報伝達・拡散が重要になると考えた我々は、発表会より前の2月28日から当日までを「フェーズ1(事前)」、当日を「フェーズ2(ライブ当日)」、それ以降を「フェーズ3(事後)」と3つのフェーズに分けて施策を行いました。

 「フェーズ1」は事前に発表会を自分ゴト化してもらうこと、「フェーズ2」は視聴者数の最大化、「フェーズ3」では話題の維持と裾野拡大と、フェーズごとに目的を設定しました。

ユーザーの想像を掻き立てるティザー施策を

MZ:では、ここからは各フェーズにおける施策の詳細についてお聞きします。「フェーズ1」ではどのような施策を?

重野:「フェーズ1」では、いかに消費者にとって大事なライブ配信か認識していただきたかったので、「3月3日楽天モバイル重大発表」「これまでの常識を覆す」というメッセージを伝え、期待感をあおるティザー広告を展開しました。

 広告で展開したツイートに「いいね!」または「リツイート」した人には、ライブ前にリマインドを行えるようにもしました。さらに「投票機能」や「カンバーセーショナルカード」を通じて、消費者自身が何を聞きたいのかを深掘りさせ、「観たい」「知りたい」という状況を作っていきました。

投票機能を活用したツイート

 内容はすべてライブで知らせるものでしたが、お客様が自分で選んで押すことによって、自分の関心を再認識する役割を意識しました。

カンバセーショナルカードを活用したツイート

添田:どんな発表があるかを、消費者に強く想像させたかったのです。聞きたい内容が新料金に集まるのは予想していましたが、実際「何に期待しているのか」を可視化することで、消費者の間で関心が盛り上がっていくことを狙いました。それと、ライブ配信前のリマインドによって、視聴し忘れを防げる設計ができたのは大きかったと考えています。

ライブ配信のリマインドをお知らせする用のツイート

配信であっても臨場感を大事に

重野:「フェーズ2」では、フォロワー以外の流入を増やすため、ブロードリーチ型のプロモツイートを当日配信することで、より多くの人の視聴を促していきました。

 配信フォーマットは、より消費者の会話が生まれるように、コメントがライブを実施している中で動画内に出てくるペリスコープ型ではなく、関連ツイートの内容が見やすいイベントページ型のライブフォーマットを選択しました。

添田:広告と、イベントページ型ライブはTwitter内に露出がされやすいので、それを見て入ってくる形で視聴者が増えていきましたね。

 あとはライブ配信の臨場感も意識しました。完全にライブ配信に切り替える判断をしたときに、大きな会場のまま実施するか、縮小するかを検討したのですが、ライブで観てもらうには視聴者に飽きさせないようにすることが重要と考えました。それにはスケール感も含めエンターテインメント性のある手法を取ろうと、そのままの会場で実施することを決めました。

重野:具体的には、17mのワイドスクリーンを使ったステージや、クレーンを含む複数台のカメラワーク、演出映像、プレゼンテーション時のマテリアルデザインなどもインパクトを出せるように意識しました。スクリーン越しのPCとスマホのどちらで視聴しても臨場感を味わっていただけたのではないでしょうか。

ライブで届かなかった層に編集アーカイブ動画を配信

重野:公開後の「フェーズ3」では、ライブを観られなかった人に対し、アーカイブ配信だけでなく、コンテンツをダイジェスト版にして消費者セグメントごとに知りたい情報の粒度にして情報を届けていきました。

 具体的には、メディアとコラボレーションしてコンテンツを制作・配信する、コンテンツのインストリーム動画スポンサーシップ(IVS)を実施しました。今回組んだ媒体社とターゲット層の区分は、「ORICON NEWS(一般ユーザー層)」「BuzzFeedJapan(ハイリテラシー層)」「NewsTV(ビジネスマン層)」です。それぞれの媒体特性にあわせたコンテンツを作って配信していきました。

MZ:配信したライブ動画を媒体社と連携して、別の形で広げていけるのは魅力的ですね。

添田:発表会自体がひとつのコンテンツとして成立できる形になっていたので、リードタイムの短い中で、編集配信するスキームがあること自体がTwitterならではで良かったです。

楽天モバイル発信のワードが複数トレンド入り、40倍の会話が発生

MZ:施策によって、どのような成果が得られましたか。

重野:フェーズごとにお話しすると、「フェーズ1」では想定以上のエンゲージが得られ、当社の目標と比べてエンゲージメント率355%増を達成しました。

 ライブ配信当日の「フェーズ2」では、110万ユニークビューワーの視聴者数を獲得。ライブ中のトレンドも席巻し、「楽天モバイル」が日本2位、東京1位にトレンドイン。「1年無料」「2,980円」など、サービスに関する細かいワードもトレンド入りを果たしました。

添田:平日の15時から始まるライブでしたので、普通の人は働いている環境の中、これだけの方に観てもらえたことに驚きました。Twitterを活かして、市場の注目度を最大化できたことが要因だったと思います。

重野:ツイート量にもかなり変化があり、施策実施前の平均ツイート数が1,100程度だったのに対し、3月3日の会話数は4万2,834ツイートと、単純に40倍の会話量を創出できました。Twitterのフォロワー数も1万人増加したので、非常に良い結果が出せたと思います。 

 インプレッションもシミュレーション比で516%、CPVも1.2円と、インプレッションが伸びたことでCPVも下げることができましたので、効率的にリーチできたと評価しています。

 結果的に単一企業におけるライブ配信において、ライブとアーカイブを含めた総視聴者数は国内歴代1位の1,093万人を記録するなど、非常に満足な結果となりました。

 それとブランドリフト調査も行っていたのですが、契約意向の項目で、広告非接触者群と比べて動画視聴者は60%アップ、エンゲ―ジャーに関しては2倍とポジティブな結果が出ました。

MZ:今回の施策を通じて得られた気づき、知見があれば教えてください。

添田:しっかり投資をすることの大事さを教えられました。発表会って通常であれば一方通行なものになりがちですが、今回の一連の施策のように、インタラクティブに消費者とのエンゲージメントを作り、消費者が欲しい情報に触れて会話が増えていく設計ができれば、投資した分大きな成果が得られることがわかりました。

 目的を果たすためにも、しっかり投資をする。中途半端にやらないということは、非常に大きなラーニングになりました。

重野:他社でも事前のエンゲージメントを高めて本番に臨むことはやっていると思いますが、事後のフォローまで徹底する大事さが今回の施策で学べました。

 事後のIVSのCPVが、シミュレーションターゲットに対し想定の3分の1以下と効率良くアプローチすることができました。この部分も、今回の施策が評価できるポイントとなっています。

今後はより内容理解を促す施策を

MZ:最後に、今後の楽天モバイル自体の展望と、その中でTwitterをどのように活用していきたいかお聞かせください。

添田:サービスを開始して約3ヵ月が経ちましたが、契約数も高い水準で伸びています。サービスが開始することを今回のライブ配信などを通じて、多くの人に知ってもらえたので、今後はサービスの良さや内容の理解を促進させていかなければなりません。

 現在もプロモツイートを中心に配信していますが、楽天モバイルのサービスとTwitterとの相性は非常に良いです。他の広告と比べて良い反応が得られています。興味を持っている人たちの会話が生まれている場所として、引き続きTwitterのプラットフォームを活用していきたいです。

重野:今回の施策で1万人フォロワーが増えましたので、今後も積極的にTwitterで情報発信していきたいです。加えて、今後も発表会を実施していく予定なので、その際にはまたTwitterと連動したライブ配信を仕掛けたいと思います。

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この記事の著者

畑中 杏樹(ハタナカ アズキ)

フリーランスライター。広告・マーケティング系出版社の雑誌編集を経てフリーランスに。デジタルマーケティング、広告宣伝、SP分野を中心にWebや雑誌で執筆中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2020/09/08 10:54 https://markezine.jp/article/detail/33781