データ重視のテレビCM出稿をどう実現する?
――はじめに自己紹介をお願いします。
青山:ラクスルでプラットフォーム事業「ノバセル」のストラテジックプランナーとして、テレビCMの戦略や企画を立てています。
テレビCM事業自体は2018年より開始していましたが、クラウド型テレビCM効果測定ツール「ノバセルアナリティクス」を開発したことで、企画制作から分析まで一気通貫でサービスを提供できるようになりました。利用いただいている企業様からは、Web広告のようにテレビCMの効果が検証できる点を評価いただいています。
――ノバセルを利用するお客様は、どのような目的を持ってテレビCMを依頼されることが多いのでしょうか。
青山:「初めてのテレビCMはノバセルで」とメッセージしている通り、今までは初めてのテレビCM出稿に挑戦するお客様から依頼されるケースが多かったのですが、最近では、既に出稿経験のあるお客様からのご相談も増えてきました。
話を聞いてみると、「テレビCM出稿してみたものの、効果があったのかがわからない」「ニーズやトレンドをより正確に捉えた上で、一連のプロセスをデータに基づいて実施したい」との思いを抱えていらっしゃいます。そのため「ノバセルアナリティクス」では放映効果の測定をロジカルに行うことはもちろん、企画やクリエイティブ制作の段階においても、データを重視して進めています。
コンセプト策定時から、LINEリサーチの調査結果を活用
――企画・制作段階でのデータ収集・活用は、どのように行っているのでしょうか。
青山:当社がこれまでどのように自社のマーケティング施策としてテレビCMを制作してきたか振り返ってみると、まず消費者に選ばれる理由・選ばれない理由などを調査で明確にし、次にWeb広告の訴求に落とし、どの訴求が効果がいいのかを検証。最後にテレビCMの要素にするということをずっとやっていました。そうして実際に5年で売上高を約24倍に成長させるなど成果を上げてきたので、お客様にも同じように提供しようと考えました。
しかし調査は費用や時間がかかる上に、その企業・業界に対する解像度が高くないと、設問設計が難しい場合もあります。効率的に調査ができるやり方はないかと模索していたところ、別のマーケティング担当者が「LINEリサーチ」のライトコースのことを教えてくれたのです。試しに使わせてもらったら、企画に活かせる本格的な調査ができることがわかったので、継続して利用しています。
――具体的にどのように活用されているのでしょうか。
青山:ノバセルではお客様への企画提案は無料で提供しており、調査にかかる費用も当社が負担する形で行っています。「ターゲット」「顧客のニーズ」に関する仮説を設計し、それをコンセプトに落とし込み、調査にかけています。このコンセプトづくりを、 ストラテジックプランナーが担当しています。
また企画を提案して案件化した後、クリエイティブを制作していく段階でも、調査データを重宝しています。制作の過程で様々な立場の方が意思決定にかかわり、提案当初から軸がぶれてしまうことがあるのですが、そういう時も、調査ファクトに立ち戻って「なぜこのクリエイティブにしたのか」が伝えられるため、全員が納得感を持って進むことができるんです。